その中で飛び抜けて素晴らしいと感じたのが、やはりポリーニ盤でした!
あらためて聴き直したのですが、以前に気付かなかった新たな発見や感動を得ることが出来ました。
聴くほどに味わいが深まる、名盤の名盤たるゆえんだと思います!
特に印象に残って曲を列挙しますと…
【第1番: 変イ長調 Allegro sosutenute】
「近づく嵐を避けて、牧童が安全な洞窟に避難している。遠くで風や雨が吹き荒んでいるが、彼は静かに笛を取って優雅な旋律を吹いている」
ショパン自身、こう解説したそうですが、
右手の不穏な動きの中、左手が奏でる旋律の不思議なまでに寛いだ穏やかさが際立つ、ショパンの全作品中でも屈指の名曲であり名演だと思います。
【第2番:ヘ短調 Presto】
球を転がすように流れ来て、去っていく美しい悲しみには、涙は追いつきません…。
ポリーニならではの表現の美しさ!
【第3番:ヘ長調 Allegro】
力強い喜びに溢れた、弾けるように愉しい音楽!
【第5番:ホ短調 Vivace】
もつれるように繰り広げられる、マジックのような不思議な趣が!
中間部は、神秘的な美しさの中に佇みながら仄見る、憧れの世界が…。
素晴らしい1曲です!
【第6番:嬰ト短調 Allegro】
初冬の風に舞う落ち葉を思わせるような、詩情あふれる音楽。
【第7番:嬰ハ短調 Lento】
憂鬱さの中にも内省的な憧れに満ちたこの曲は、ショパンの独白を聴く趣を有する、大変に美しいもの!
晩年、折に触れて弾いていたと言われる作品です。
【第8番:変ニ長調 Vivace】
心の憂さを晴らすかのように、息もつかずに夢中で踊り続けられるワルツ!
【第10番:ロ短調 Allegro con fuoco】
激情的な主部と、ふと覚える安らぎの中で、疲弊した心を訥々と語る中間部。
ショパンの魂の独白でしょうか?
【第11番:イ短調 Lento-Allegro con brio】
「木枯し」の名で知られる、有名曲の一つ!
昔も今も、ポリーニの演奏を聴く度に、心の憂さがはらされて、爽快な気分に!
【第12番:ハ短調 Allegro molto e con fuoco】
猛り狂う海のような音のうねりが壮大なロマンを抱かせる、素晴らしいファンタジーに溢れた曲です!
1972年に録音されたこの演奏!未聴の方には「是非!」にと、お薦めしたい超名盤です。