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G.ロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲

A.トスカニーニ指揮  NBC交響楽団 


ロッシーニが21歳の時に、1ヶ月にも満たない期間で書き上げ大好評を得た、彼の出世作とも言える歌劇。

曲名のアルジェは、北アフリカアルジェリアの首都名。

その土地の太守(郡の首長のような身分)ムスタファーは、

長年連れ添った妻との諍いが絶えず、新たに若く美しいイタリア娘を娶りたいと考え、

事態を穏便に収めるべく、妻を美男のイタリア人奴隷に払い下げるように画策するが、

件のイタリア娘と奴隷とは、同郷で恋人同士…。

そのことを察知した娘は、とっさに機知を働かせて…。

お決まりのドタバタ劇が展開されるのですが、

最後には元の鞘に収まって“めでたし、めでたし(?)”という、ストレス・フリーなストーリーです!


ピチカートで開始され、クラリネットがチャーミングな音色を奏でる冒頭部は、太守が善からぬ妄想を抱き始める趣が…。

てんやわんやの大騒ぎを思わせる賑やかな主部は、軽薄な太守とそれに絡む人々を髣髴させるコミカルさが…。

そして、お定まりのクレッシェンドへと進んでいきます…。


エントリーする演奏は、トスカニーニ指揮するNBC交響楽団、1945年のカーネギーホールでのライヴです。

アバドやシャーイの演奏時間と比べても、1分ないしはそれ以上に早いテンポできびきびと進められますが、

時に可愛らしく、時に妖艶にと表情を変えながら歌われる、木管楽器のインスピレーション溢れる素晴らしさ。

そして、何よりもロッシーニ・クレッシェンドの想像を絶する高揚感!

いずれもが、ライヴならではのものでしょうね!


ホールノイズも盛大に収録されてはいますが、

8Hスタジオのドライな録音よりは遥かに耳障り良く聴けると思いますので、

機会があれば、ぜひ御一聴されることをお薦めします。

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