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モーツァルト:弦楽四重奏曲第11番 K.171 

ハーゲン弦楽四重奏団 


モーツァルトが1773年の夏、就職活動のために三度目のウィーン旅行に出かけた際に、そこで知ったハイドンの弦楽四重奏曲op.17、op.20に出会い、

弦楽四重奏曲の可能性にカルチャーショックを受けて書かれたと言われる、K.168〜173の6曲(ウィーン四重奏曲)。

今日はモーツァルト17歳のこれら作品を、ハーゲンS.Q.の演奏で、ケッヘル順にまとめて聴いてみました…。


6曲中、一番惹かれたのがK.131!

モーツァルトはこの弦楽四重奏曲に、試験的にオペラのようなドラマを盛り込んで作曲したのではないかと思えるほど、面白く聴けました!


【第1楽章:Adagio-Allegro assai】

希求しつつも、拭い去れない重苦しく不安定な感情が纏わるような印象的な旋律をもつ冒頭部は、悲劇的な展開を予感させるもの…。

次第に明るい光が射し込み始め、いつの間にやら快速なテンポへと移行しています。

不安定さと明るさが交互に現われつつ曲は進行、

最後は希望に溢れたアリアが歌われ、オペラの序曲のように期待を抱かせつつ終わります…。


【第2楽章:Menuetto】

メヌエット部は、様々な思いが取りとめなく浮かびあがり、不安定なワクワク感が…。

トリオ部は泰然とした音楽で、ここに至ってようやく曲に落ち着きが出てきます。


【第3楽章:Andante】

悲しみに打ちひしがれたような、

或いは思索の迷路に迷い込んだような、

モーツァルトには珍しい趣の曲…。

物想いに耽りつつ、泰然と歩を進めるような音楽です。


【第4楽章:Allegro assai】

モーツァルトらしい、天真爛漫な明るさが表出されたこの楽章は、

10年の時を経て、再び着手された、ハイドンセットの成熟した作品群にもつながる兆しが実感できる音楽です!


僅か1ヶ月ほどで書き上げられた6曲の弦楽四重奏曲ですが、

様々な試みや、驚くほどの進歩が実感出来て、

モーツァルトの天才ぶりに、あらためて舌を巻いた体験でした。

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