最近聴いたCD

ドビュッシー:バレー音楽「おもちゃ箱」(管弦楽版)

ジャン・マルティノン指揮  フランス国立管弦楽団 


親交のあったエレという挿絵画家の「おもちゃ箱」と題されたアルバムを見て、愛嬢エンマのために作曲を思い立ったという、全4場から成る子供のためのバレー音楽。

原曲はピアノのために書かれたものですが、

ドビュッシーの死後、カプレによるオーケストレーションが施された版で、アンゲルブレシュトの指揮によって紹介されました…。


今日聴いたのは、マルティノン指揮するフランス国立管弦楽団のものですが、

視覚を伴なわなくとも、演奏そのものがインスピレーションとファンタジーに溢れた素晴らしいものですし、

とりわけ木管楽器の音色は、ため息が出るような美しさ!

聴覚だけで、十二分に楽しめるディスクです。

また1曲、素晴らしい演奏に出会うことが出来ました!

クリスマスは、町内のイルミネーション見学に出掛けるのも億劫ですので、

今年はこの曲の聴き較べでもしながら、ファンタジックな雰囲気だけでも楽しもうかと考えています…。


【第1場:おもちゃ屋】

夜の帳の中、マジカルな出来事が始まるようなワクワクした雰囲気が…。

各種木管楽器の表情には、トリッキーな雰囲気が溢れ、夢が育まれるよう!

途中、デュカスの「魔法使いの弟子」のパロディーかと思わせる場面や、

おもちゃの兵隊の行進を思わせる、愛らしくも勇壮な音楽も…。


【第2場:戦場】

賛美歌を思わせる弦のユニゾンで厳かに開始されますが、

すぐにオリエンタルなムード漂う木管の旋律が流れますし、

グノーの歌劇「ファウスト」の“兵士の合唱”が登場したり、

エレジー風の旋律や、消灯ラッパのような金管の響きも!

こう書くと、ハチャメチャな音楽と感じられるかもしれませんが、

ファンタジーにみちた、美しくも楽しい音楽です。


【第3場:売りに出た羊小屋】

標題からバレーの内容を推測することはできませんが、清潔で、田園情緒に溢れた音楽!

悲しい舞曲風の音楽で、締めくくられます。


【第4曲:財産が出来てから】

どこかで聴いたような音楽が次から次へと登場する、パロディーの缶詰のような音楽。確か、メンデルスゾーンの「結婚行進曲」らしき曲も…。


ドビュッシーらしい繊細・緻密さには欠けるのかもしれませんが、

過剰な思い入れを排した、すっきりとした透明感溢れるマルティノンの指揮によって、インスピレーションとファンタジーに溢れた曲に仕上がったと思えます…。

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