最近聴いたCD

C.M.vonウェーバー:ピアノソナタ第4番 ホ短調 

レオン・フライシャー(ピアノ)


私の子供の頃、小・中学校の音楽室には、バッハ・ヘンデル・ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンの次にウェーバーの額入り肖像画が飾られていましたので、

名前と共に、その細長い特徴のある顔と、

授業で聴いた(或いは歌った)「魔弾の射手」序曲の、ドイツの深い森を想起させる4本のホルンが奏でる有名な旋律には、一応馴染んではいました。

「ベートーヴェン以降の、ドイツロマン派の開祖とされる重要な作曲家」として、

代表作「魔弾の射手」「オイリアンテ」「オベロン」などの序曲から思い浮かぶ、深い森・素朴な人々の生活・中世の騎士道といったというイメージと、

もう一方の有名曲である、華やかな舞踏会の雰囲気とそこでの男女の仕草を描いた、サロン風とも言える「舞踏への勧誘」とでは、余りにもイメージが乖離していました…。

しかし、今日エントリーするピアノソナタ第4番を聴いて、ウェーバーという作曲家が、漠然と理解できたような…。


【第1楽章:Moderate】

月明りに照らされた静かな夜の森を思わせる、ロマンティックな雰囲気で開始される冒頭部は、いかにもウェーバーらしいもの。

劇的な物語の展開を予想させるように展開されていきますが、

全体としては愛らしく穏やかな雰囲気に支配された楽章です。


【第2楽章:Menuetto.Presto vivace ed energico-Trio】

情熱の迸りとも、心の苛立ちともとれる主部と、

ギャロップを愉しむように、気楽で爽快なトリオ部との対比…。


【第3楽章:Andante.Quasi allegretto】

楽しく愛らしい楽想は、まるでお散歩やお遊戯をする子供の姿を思わせる、楽しく愛らしい音楽。

終楽章と共に、「舞踏への勧誘」を思わせる、サロンの雰囲気が漂います。


【第4楽章:Prestissimo】

ひとひねり趣向を凝らしてはいますが、肩の凝らない、愉し気なサロン風の音楽!


1921年に初演された歌劇「魔弾の射手」によって、ドイツ国民オペラの金字塔を打ち立てたウェーバーでしたが、

その頃、当時不治の病とされた結核に侵され、本人はそのことを知ったばかり…。

美しい旋律ながら、どこか閃きに欠けるように思えたり、

楽章間の繋がりの希薄さを感じるのは、

突然病魔に侵されて動揺し、気持ちの整理が出来ていなかったのかもしれません。

しかし、随所にロマン派音楽の芽ぶきが感じられる、棄て難い魅力を有した作品だと思います。

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