最近聴いたCD

J.S.バッハ:パルティータ第3番 BWV827

 アンドラーシュ・シフ(ピアノ) 


バッハの鍵盤楽器のためのパルティータ第1〜6番は、1726〜30年に書かれたと言われ、

「クラヴィーア練習曲集第1巻」として出版されたものです。

多くの鍵盤楽器奏者による素晴らしい演奏に恵まれた作品群であり、

どの演奏を聴いても、紛れもなくJ.S.バッハの作品と判るのですが、

しかし各演奏から受ける印象は、それぞれに大きく異なってきます。

多様な解釈が許される、懐の深い作品群と申し上げて差支えないのでしょうね!


今日エントリーするA.シフのピアノによる第3番は、さらさらと流れるように演奏され、

全曲を通して気高い心地良さが感じられるもの!

このようなシフの解釈が、私が聴いた範囲での第3番の曲想に、最も適しているように感じられるのです…。


【第1曲:Fantasia】

清流の水面を浮き沈みしながら流される色づいた落ち葉を見るような、爽やかな趣が感じられる幻想曲風の第1曲。

【第2曲:Allemande】

清楚な愛らしさを湛えつつ、物想いに耽る趣が感じられる舞曲。

【第3曲:Corrente】

愉しげに飛び回るような、心弾む舞曲!

【第4曲:Sarabande】

バッハ作品では、祈りを感じさせる荘重なサラバンドが多い中、

お互いの表情を確かめ合いながら、流れるように舞う、気高く優雅な音楽…。

【第5曲:Burlesca】

「ブーレスカ」は、イタリア語で「ふざけた、悪戯っぽい」を意味するそうですが、

優雅な貴婦人たちの、他愛なく延々と続くお喋りを髣髴させる、愉しい曲!

【第6曲:Scherzo】

気持の動揺を表わすように、微妙に変化する表情が印象的なスケルツオ。

【第7曲:Gigue】

めくるめく変化しつつ、心地良く気分を高揚させていく、愉しく活気に溢れた音楽!


我家の周囲を覆っていた霧も晴れ、快晴の一日になりそう…。

こんな朝にピッタリする、シフの演奏でした!

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