作品に文学的表現(?)を盛り込むべく、
和声の法則を最大限に活用して斬新な響きを創造したり、
情熱的な浮遊感を表出するために、付点音符やシンコペーションを多用したと言われています…。
今日エントリーする「3つのロマンス(オーボエとピアノのための)」は、
オーボエという楽器の音色の特性を活かして心の襞までもが繊細に描かれた、切々たる情感に溢れた作品!
この作品、当初はオーボエのために書き始められたそうですが、
途中で当時の演奏技術では困難なことに気付いたシューマンは、
ヴァイオリンorチェロorクラリネットなど、様々な楽器で演奏されることも想定して、書き上げたそうです!
この時期(1849年)、シューマンはドレスデンの生活で精神の均衡が崩れ始めていたとか。
私は、クラリネットorオーボエの演奏でしか聴いたことがありませんが、
チャーミングな甘さを湛えたクラリネットの響きよりも、
ペシミスティックな雰囲気を漂わせるオーボエの冴えわたった音色の方が、傷ついた心の襞までもが表出されており、
曲想により相応しいと感じています。
【第1曲:Nicht schnell】
秋の夕暮れ時、天空高く響くような牧歌的な音色に、言いしれぬ哀愁が感じられます。
祈りのように響く、ホリガーのオーボエの音色!
【第2曲:Einfach,、innig】
内に秘めた心情を述懐するような、しみじみとした内省的な音楽。
中間部では、心の乱れる様が…。
【第3曲:Nicht schnell】
はやる気持と諦観とが混在する、複雑な心情が描かれた主部。
どことなく不安定ですが、それでもひとときの穏やかさが漂う中間部!
静かにインスピレーションを喚起する、如何にもシューマンらしい演奏だと思います。
静かに燃えながら、お互いのインスピレーションを掻き立てるホリガーとブレンデルの演奏は、内省的な深い味わいが聴き取れる、秀逸なものだと感じました!