最近聴いたCD

ラフマニノフ:
二台のピアノの為の組曲第1番
(「幻想的絵画」)

 M.アルゲリッチ・A.ラビノヴィッチ(ピアノ) 


つい10日ほど前までは、汗ばむような陽気でしたのに、

ここのところ最低気温が10℃を切るようになり、

早朝の愛犬の散歩には、薄い手袋が必要と感じるようになりました。

こういった気候になってくると、暑い頃には聴く気もしなかった、ロマンの色濃いラフマニノフの音楽に、食指が動くようになります。


今日は、ラフマニノフが20歳の1893年に作曲、

自らの才能を高く評価し目をかけてくれた恩人チャイコフスキーに献呈された「2台のピアノのための組曲第1番」を、アルゲリッチとラビノヴィッチの演奏で…。

15年以上前に初めて聴いた時には、複雑でまとまりがないように思えて、(多分)途中で聴くのを止めてしまったこの演奏ですが…。

二人の名手の奏でる音色が、ダイナミック且つ繊細に捉えられた演奏・録音を、

今は、まるで超大型のデジタル・ハイビジョンTVを観るような趣で受け容れられるようになりました。

私の感性も、取り巻く環境の変化に、気付かないうちに順化しているのでしょうね。


当初は「幻想的絵画」と題された4曲から構成されるこの組曲には、

作曲家がインスピレーションを受けた詩が、

それぞれにエピグラフとして添えられています。


【第1曲:舟歌】

ロシアの詩人レールモントフの詩「ベネチア」の一節が引用されたこの曲は、

波間に漂うゴンドラを思わせる3拍子のリズムと、

澄み切った大気の中で繊細にまたたく満天の星を思わせる、瑞々しい旋律が奏でられます!

二台のピアノが醸す繊細さに満ちた演奏効果は、まるで、デジタル・ハイビジョンの映像を思わせるよう…。


【第2曲:夜、愛】

バイロンの詩にインスパイアされたこの曲…。

繊細に奏されるトリルは、ナイチンゲールの囀りか、星の瞬きか…。

愛おしさが激しく高まる部分は、第1曲同様に、美しい夜空を背景にした映像を髣髴せずにはいられません!


【第3曲:涙】

ロシアの詩人チェッチェフの同名詩によるもの。

悲しみを象徴するかのように、スペクタクルに鳴り響く鐘の音が、大変に印象的!


【第4曲:復活祭】

同じくロシアの詩人ホミャコフの同名詩によるもの。

地鳴りを思わせる鮮烈な躍動感!力強い民族舞曲なのでしょうか…。


アルゲリッチとラビノヴィッチによるこの曲は、

私にイメージするラフマニノフとは異なり、

鮮烈な抒情が冴えわたった、大変に興味深い演奏でした!

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