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ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲

コリン・ディヴィス指揮  バイエルン放送交響楽団  


ストラヴィンスキーは、その生涯において“シンフォニー”と題した作品を4曲残していますが、

その最後が1945年に書かれた「3楽章の交響曲」で、

バロックや古典派のような簡素な作風を目指した、新古典主義作品の最後を飾る作品の一つとされています。

1942年、管弦楽のための協奏曲として着想されたとされるこの作品は、

第1楽章にピアノ、第2楽章にハープ、第3楽章にピアノとハープが協奏楽器のように扱われています。

にもかかわらず、この作品が「…協奏曲」と名付けられなかったのは、

1943年に誕生したバルトークの傑作「管弦楽のための協奏曲」の存在の大きさ故と考えるのは、邪推でしょうか…?

作曲の趣旨から考えても、斬新なインパクトの強さは、彼の三大バレーやバルトークの「管弦楽の…」に及ぶものではありませんが、

趣向が凝らされた、大変に興味深い作品だと思います。


エントリーするC.ディヴィス指揮するバイエルン放送響の演奏は、堂々とした恰幅の良い、シンフォニックなもの。


【第1楽章:Allegro】冒頭の管弦楽とピアノによる、整然とした勇ましさの中にも炸裂するエネルギー!

随所に聴き取れるファンタジーは、まるで壮大な宇宙空間を疾走するSLのような趣が!

小細工を弄さない、ディヴィスの毅然とした指揮ぶりによって、曲の格調の高さが際立ちます。


【第2楽章:Andante―Interlude】

場末のカーニバルのざわつきを思わせる主部と、

場に相応しくないハープが奏でる雅な響きは、逆に殺伐とした寂しげな雰囲気を…。

ロシアの庶民の素朴な生活を思わせる、なかなかの佳曲!


【第3楽章:Con moto】

前楽章から休みなく、力強く行進曲風に開始される愉悦感に満ちた楽章。

ピアノがチェンバロのような響きを醸したり、

トロンボーンとピアノが奏する、一種不思議な空疎さが感じられるフーガが登場したり…。


簡素さの中にも、自由闊達な音楽が展開される、面白い作品だと感じました!

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