最近聴いたCD

F.ショパン:ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 op.44

サンソン・フランソワ(ピアノ)


何処で読んだのか、出典がどうしても思い出せなくって.恐縮ですが、

F.リストは、ショパンのポロネーズ第5番を評して

「バイロンの詩のような壮大・雄渾なロマン!」と絶賛したとか!

サンソン・フランソワが弾くこの曲の演奏を久しぶりに聴いて、

曲の底に流れる完膚なきまでにうち砕かれた挫折感や、それに伴なう倦怠感と同時に、

弱々しく、陶酔的な憧憬を感じ取り、こんな言葉を思い出しました…。


いきなり、暗い情念が渦巻くように開始されるポロネーズ部では、

救いの光すら仄見ることができない、壊滅的な精神的ダメージが…。

一般的には力強い打鍵が際立つ演奏の多い中、

力感が抑制されたフランソワの解釈はは、逆に他のどの演奏よりも、ポーランドの人々の内包された怒りが感じられ、

劇的な効果が表出されていると思えるのです!


中間部のマズルカは、ただ憧れることにのみ救いを見出すように、清明な中に射しこむ一条の刹那的な危うさが…。

五感を麻痺させるようなロマンを表出するフランソワの解釈に、痺れるような陶酔感を覚えました!


この解釈には、当然賛否両論があろうかと思いますが、

未だお聴きでない方には、是非とも御体験頂きたいと思います!

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