F.リストは、ショパンのポロネーズ第5番を評して
「バイロンの詩のような壮大・雄渾なロマン!」と絶賛したとか!
サンソン・フランソワが弾くこの曲の演奏を久しぶりに聴いて、
曲の底に流れる完膚なきまでにうち砕かれた挫折感や、それに伴なう倦怠感と同時に、
弱々しく、陶酔的な憧憬を感じ取り、こんな言葉を思い出しました…。
いきなり、暗い情念が渦巻くように開始されるポロネーズ部では、
救いの光すら仄見ることができない、壊滅的な精神的ダメージが…。
一般的には力強い打鍵が際立つ演奏の多い中、
力感が抑制されたフランソワの解釈はは、逆に他のどの演奏よりも、ポーランドの人々の内包された怒りが感じられ、
劇的な効果が表出されていると思えるのです!
中間部のマズルカは、ただ憧れることにのみ救いを見出すように、清明な中に射しこむ一条の刹那的な危うさが…。
五感を麻痺させるようなロマンを表出するフランソワの解釈に、痺れるような陶酔感を覚えました!
この解釈には、当然賛否両論があろうかと思いますが、
未だお聴きでない方には、是非とも御体験頂きたいと思います!