その頃からノルウェイの風土や、民族に伝承された文学・舞踊などを題材として、
生涯に渡ってピアノの小品を書き続けましたが、
折に触れて6〜8曲をまとめ、抒情小曲集として出版。
最終的には66曲、全10集が出版されました。
中でも、今日エントリーする第5集は、1891年に出版されたもので、最も完成度の高い作品集と評されており、
作曲者にとって自信作だったのでしょう、
自ら第1〜4曲を『抒情組曲』としてオーケストラ版に編曲し、広く親しまれています。
【第1曲:羊飼いの少年】
黄昏時の田園に響く、哀愁を伴なった美しいメロディーには、どこか諦観が漂います…。
シューベルトの歌曲「羊飼いの嘆きの歌」同様、ゲーテの詩に触発された、
そんな趣が感じられる名曲です!
【第2曲:ノルウェー農民の行進曲】
活き活きと愉しげなのですが、
バグパイプの音色を髣髴させる、素朴でメランコリーなな抒情を湛えた佳曲です。
【第3曲:小人の行進】
森の中を妖精が飛び回る、メルヘンの世界を思わせる幻想的な愉悦に溢れた音楽。
中間部では、遊び疲れた小人たちが、まどろむような趣…。
【第4曲:夜想曲】
満天にきらめく星座の下、夢見心地で物想いに耽るような、
メランコリーな感傷に溢れた、ロマンチックな音楽。
中間部の、うち震えるような星の瞬きの、美しいこと!
【第5曲:スケルツォ】
おどけたように気忙しく駆け回る、楽しげな音楽!
中間部では,、同じ旋律が穏やかに美しく、それでいてメランコリーを含んでいます。
【第6曲:鐘の音】
「鐘の音」と題されていますが、
知らずに聴いた時には、オーロラの壮大さを描いた音楽家と思いました!
大自然に対する驚嘆と同時に、畏怖の念を感じる、雄大な自然賛歌のように感じました。
オケ版の「抒情組曲」しかお聴きになっていないのでしたら、原曲の方もご一聴されることを、お薦めします!