最近聴いたCD

E.グリーグ:抒情小曲集第5集

ユハニ・ラーゲルスペッツ(ピアノ)


1867年に発表されたピアノ協奏曲イ短調で一躍有名になったグリーグ’(1843-1907)でしたが、

その頃からノルウェイの風土や、民族に伝承された文学・舞踊などを題材として、

生涯に渡ってピアノの小品を書き続けましたが、

折に触れて6〜8曲をまとめ、抒情小曲集として出版。

最終的には66曲、全10集が出版されました。

中でも、今日エントリーする第5集は、1891年に出版されたもので、最も完成度の高い作品集と評されており、

作曲者にとって自信作だったのでしょう、

自ら第1〜4曲を『抒情組曲』としてオーケストラ版に編曲し、広く親しまれています。


【第1曲:羊飼いの少年】

黄昏時の田園に響く、哀愁を伴なった美しいメロディーには、どこか諦観が漂います…。

シューベルトの歌曲「羊飼いの嘆きの歌」同様、ゲーテの詩に触発された、

そんな趣が感じられる名曲です!


【第2曲:ノルウェー農民の行進曲】

活き活きと愉しげなのですが、

バグパイプの音色を髣髴させる、素朴でメランコリーなな抒情を湛えた佳曲です。


【第3曲:小人の行進】

森の中を妖精が飛び回る、メルヘンの世界を思わせる幻想的な愉悦に溢れた音楽。

中間部では、遊び疲れた小人たちが、まどろむような趣…。


【第4曲:夜想曲】

満天にきらめく星座の下、夢見心地で物想いに耽るような、

メランコリーな感傷に溢れた、ロマンチックな音楽。

中間部の、うち震えるような星の瞬きの、美しいこと!


【第5曲:スケルツォ】

おどけたように気忙しく駆け回る、楽しげな音楽!

中間部では,、同じ旋律が穏やかに美しく、それでいてメランコリーを含んでいます。


【第6曲:鐘の音】

「鐘の音」と題されていますが、

知らずに聴いた時には、オーロラの壮大さを描いた音楽家と思いました!

大自然に対する驚嘆と同時に、畏怖の念を感じる、雄大な自然賛歌のように感じました。


オケ版の「抒情組曲」しかお聴きになっていないのでしたら、原曲の方もご一聴されることを、お薦めします!

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