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ガブリエル・ピエルネ:フランシスコ会の情景

ピエール・デルヴォ  ペイ・ド・ロアール・フィル


フランスの作曲家ガブリエル・ピエルネ(1863-1937)の作風は、

師マスネーを思わせるロマン的な甘美さ(「タイスの瞑想曲」を想像して下さい)と、

ドビュッシーを思わせる印象派的な和声感覚を併せ持ったもの!

今日エントリーする『フランシスコ会の情景』などは、まさにそういった印象が強く感じられる、大変に親しみやすい作品です。


あるフランシスコ会とは、

12世紀後半にイタリア中部の古都アッシジに生まれたフランチェスカによってはじめられた、カトリック教会の修道会の総称!

曲想から推して、聖フランシスコのゆかりの土地を旅した時の印象を、スケッチ風にまとめた作品と思われます…。

カッとするような、陽射しの強い今日など、この曲を聴いていると、爽やかな清涼感を覚えます!


【第1曲:クレールの庭(聖ダミアン修道院)】

フルートで奏される爽やかな旋律…。

教会の鐘の音やカッコウの鳴き声が、田園的な静けさを醸す中、

印象派風の和声が、移ろいゆく大気の香りを表出する…。

洗練された中に土俗的な香りが漂う、佳曲だと思います!


【第2曲:アッシジ平原のブドウ畑(秋の黄昏)】

哀愁漂うコールアングレと、のどかなホルンの響き。

大気のそよぎが感じられない、湿った大気に蔽われ、

嵐の前の静けさを思わせる、草原の黄昏時!

遠くで響く、雷鳴…。


【第3曲:ポッジョ・プストーネの途中で(行進)】

賛美歌のような旋律が高らかに歌いあげられる、厳かな喜びに溢れた第3曲。

敬虔な信者の、聖地巡を就させた心からの満足感が表現されているのでしょう…。

静かな感動に素直に共感でき、畝打たれる、名曲であり、名演だと思います。

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