最近聴いたCD

J.ハイドン:
ピアノトリオ第25番ホ短調(Hob.XV:12)

A.シフ(p) 塩川 悠子(vn) B,ベルガメンシコフ(vc)


ハイドンはピアノ三重奏曲も、40曲余り書いているそうです。

交響曲・弦楽四重奏曲・ピアノソナタと同様、選択肢が多過ぎるために、

どれから聴けば良いものやら迷ってしまって、結局手付かずの情態のまま…。

今日エントリーする曲も演奏も、ただ好きなピアニストの一人であるA.シフが加わっているという理由で、単なる好奇心で買っただけ。

ハイドンのピアノトリオに関する予備知識や、誰の演奏が評価が高いのかなど、周辺情報は全く知りませんでした。


ただ、今日初めて収録され得ているピアノトリオ4曲を聴きながら、

この作曲家は、日常身の回りで起こる出来事や、それに反応する人々の喜怒哀楽を鋭く察知して、

それを瞬時に題材として活かし、

様々なジャンルの音楽を創造し得た、希有な天才だったのかと、ふと考えていました。


例えば第25番ホ短調(Hob.XV:12)…、

【第1楽章:Allegro moderate】

ほろ苦い涙を思わせるようなホ短調による主題が、楽器を変えてカノン風に繰り返されるさまは、

悔やんでも悔やみきれない心境を、率直且つ明快に表出した音楽と感じられます。

深刻ぶらずに、心に寄り添うような親しみを覚える、素晴らしいもの!


【第2楽章:Andante】

素朴な愛おしさが込められた、慈しみ深い第2楽章!

中間部では、ふと不安が頭をよぎります。

チェロの奏でる、感情を伴なわない、ぶっきらぼうな表現が、

聴き手の想像力を掻き立ててくれます。

如何にもハイドンらしい、ユーモアと機知に富んだ楽章!


【第3楽章:Rondo(Presto)】

終楽章は、ハイドンらしく活気に溢れた音楽が展開されます。この快活さは、ハイドン作品のお決まりのようにも思うのですが、

それぞれが魅力に溢れているのは、さすがです…!


ディスクに収録されている4曲のピアノトリオそれぞれが、機知に富んだ作品であり、演奏だと思いました。

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