この曲が書かれた頃にはまだ冥王星は発見されていなかったために、
「もしホルストが冥王星の存在を知っていれば、どんな曲を書いただろう」と、好事家の話題に上っていたものでした。
イギリスの現代作曲家であり、
ホルストの研究家でもあるコリン・マシューズは、
ハレ管弦楽団の依頼を受けて、太陽系第9惑星の名を冠した作品を書き上げました。
その曲が、サイモン・ラトル指揮するベルリン・フィルにより、組曲『惑星(冥王星付き)』がCD化、発売された時。
私も、半ば猜疑心を抱く一方で、
宇宙のかなたに消えていくように終わる「海王星」の後に、どんな音楽が書かれたのだろうと興味津々、
輸入盤発売と同時に、飛びついた一人でした!
ところが、ご承知のように2006年、冥王星は惑星に該当しないことが判明、
この作品は、とんだ茶番に終わる定めなのでしょうか…。
今日、惑星全曲の後に続けて聴いたマシューズの「冥王星」は…。
最初は、烈風吹き荒ぶ死の世界をイメージしながら聴いていたのですが、
「大気の希薄であろう太陽系の彼方で、風が吹き荒ぶことなど?」との素朴な疑問が湧き上がり、
一転して、宇宙の創成を予兆するビッグバンの爆発寸前のエネルギー感を、髣髴してしまいました!
面白い曲だと思いますので、興味のある方は、是非ご一聴下さい!