最近聴いたCD

F.シューベルト:
歌曲「羊飼いの嘆きの歌」D121

イヴァン・ボストリッジ(テノール)   ジュリアス・ドレーク(ピアノ)


関東・甲信越地方に「梅雨明けた模様である」と発表されました。

強い陽射しが照りつける今日は、標高950mの我家でも30℃を優に超えている模様…。

とにかく蒸し暑いです!

朝の散歩が終わった時点から、部屋の中では扇風機が回り続けています。

すぐ隣の群馬県では、39℃を超えた地区もあるようです。

それと比べれば、扇風機の風だけでとりあえずは涼が得られるのですから、ありがたいと思わなければ…。


久しぶりに、爽やかな声でシューベルトの歌曲が聴きたくなって、

ボストリッジの選集から何曲かを選んで聴きましたが、

今日一番気に入ったのは「羊飼いの嘆きの歌(D121)」。


1814年、18歳のシューベルトが、文豪ゲーテ(1749-1832)が1802年に書いた同名の詩に曲を付けたものですが、

この詩は絵画の分野でも、ドイツロマン派の画家、カスパー・ダーヴィド・フリードリヒの創作意欲に火を点けたようで、

代表作の一つ、「虹のある風景」生み出したと言われています。


愛する女性が遠い国へと旅立った後、絶望する羊飼いの青年の心を、繊細かつ美しく謳い上げた詩とされており、

前述した絵画に漂う陰鬱な雰囲気や、

これまで聴いたフィッシャー=ディスカウやプレガルディエンの歌唱からも、>p>『若きウェルテルの悩み』にも通じる、

死をもってのみ解決される内容の作品と思っていたのですが……。


ところが、ボストリッジの歌唱を聴くと、

過ぎ去りし若き日を懐かしむかのように、

実に瑞々しく初々しい感性で表現されています。

これまでこの曲に抱いていたペシミステックなイメージは払拭され、

前途洋々たる未来を信じる、18歳の青年が書いた音楽であることを痛感した次第です!

いい演奏だと思いますので、是非ご一聴下さい!

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