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W.A.モーツァルト:
交響曲第41番「ジュピター」K.551

ブルーノ・ワルター  ニューヨーク・フィルハーモニ−管弦楽団


1788年に完成され、モーツァルトの最後の交響曲となったこの作品は、「ジュピター」の愛称で知られています。

勿論、標題的な意味合いなどありませんが、

1791年のモーツァルトの死後しばらくして、、19世紀に入った頃には、この愛称で親しまれていたようです。

輝かしく荘厳な曲想と、無窮に拡がる晴朗さは、ローマ神話に登場する最高神の名称に相応しいものだと、最近感じるようになりました。

特に、今日エントリーするワルター/ニューヨーク・フィル盤の、

恣意的な痕が全く見られない、天衣無縫な演奏を傾聴するようになって以降は…。


【第1楽章:Allegro vivace】

堂々とした力強さと、繊細で雅な旋律が組み合わされた第1主題!

一聴して雄渾・壮大な印象を受けるワルターの演奏は、気どりは一切感じられない、自然体のもの!

活き活きとして、時に力みを感じるテンポ感に、親しみ深い人間味を感じるのですが、

ある種の演奏に感じられる野卑さに陥ることはありません。知・情・意が極めて高い次元で均衡のとれた、見事な演奏だと思います。


【第2楽章:Andante cantabile】

ミュートが付けられた弦と、それに寄り添うように奏される管楽器との美しい調和!

ふと漏らす、吐息のようなフレーズは、

古を懐かしむようにも、

贖い得ない過去の出来事に畏怖するようにも聴こえます。

深い内容を有する、モーツァルトの書いた屈指の緩徐楽章だと思います!


【第3楽章:Menuetto(Allegretto)】

悠久へと吸い込まれっるように開始される冒頭部。

明るく力強いのですが、

行方が定まらず、千変万化する心の不安定さが感じられるメヌエットです!


【第4楽章:Molto allegro】

力強く。無窮の天空へと飛び立っていく、素晴らしいフーガ楽章!

果しなく拡がっていくフーガ主題と、

激しく揺れる人の心を表現するかのように、デモーニッシュなパトスを伴なった、ティンパニの打ち込み!

大変に感動的な、ワルター渾身の演奏だと思います!

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