勿論、標題的な意味合いなどありませんが、
1791年のモーツァルトの死後しばらくして、、19世紀に入った頃には、この愛称で親しまれていたようです。
輝かしく荘厳な曲想と、無窮に拡がる晴朗さは、ローマ神話に登場する最高神の名称に相応しいものだと、最近感じるようになりました。
特に、今日エントリーするワルター/ニューヨーク・フィル盤の、
恣意的な痕が全く見られない、天衣無縫な演奏を傾聴するようになって以降は…。
【第1楽章:Allegro vivace】
堂々とした力強さと、繊細で雅な旋律が組み合わされた第1主題!
一聴して雄渾・壮大な印象を受けるワルターの演奏は、気どりは一切感じられない、自然体のもの!
活き活きとして、時に力みを感じるテンポ感に、親しみ深い人間味を感じるのですが、
ある種の演奏に感じられる野卑さに陥ることはありません。知・情・意が極めて高い次元で均衡のとれた、見事な演奏だと思います。
【第2楽章:Andante cantabile】
ミュートが付けられた弦と、それに寄り添うように奏される管楽器との美しい調和!
ふと漏らす、吐息のようなフレーズは、
古を懐かしむようにも、
贖い得ない過去の出来事に畏怖するようにも聴こえます。
深い内容を有する、モーツァルトの書いた屈指の緩徐楽章だと思います!
【第3楽章:Menuetto(Allegretto)】
悠久へと吸い込まれっるように開始される冒頭部。
明るく力強いのですが、
行方が定まらず、千変万化する心の不安定さが感じられるメヌエットです!
【第4楽章:Molto allegro】
力強く。無窮の天空へと飛び立っていく、素晴らしいフーガ楽章!
果しなく拡がっていくフーガ主題と、
激しく揺れる人の心を表現するかのように、デモーニッシュなパトスを伴なった、ティンパニの打ち込み!
大変に感動的な、ワルター渾身の演奏だと思います!