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D.ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番

M.ロストロポーヴィチ(チェロ)
小澤征爾指揮   ロンドン交響楽団


この作品は、プロコフイエフの『交響的協奏曲』に触発されて、

「自分も、チェロの名手のために、作品を書いてみよう」と思ったのが、作曲の動機だとか!

ここで言う名手とは、ロストロポーヴィッチのことであり、

1959年に完成、その年の内に、ロストロポーヴィッチのチェロと、ムラヴィンスキー/レニングラード管の演奏で初演されました。


【第1楽章Allegretto】

独奏チェロによって、いきなりおどけた雰囲気が醸される冒頭部…。

曲の進行に伴い、この動機が登場する度に心地良さを覚えつつ、次第に陶酔感が高まる、

如何にもショスタコーヴィチらしい音楽が展開されます。

最後の二発のティンパニの強打に、象徴的な何かを感じさせつつ、終了します…。


【第2楽章:Moderate】

ショスタコーヴィチ特有の寂寥とした魂の浮遊を思わせる、静謐で美しいこの楽章…。

独奏チェロの広域での響きは哀歌を、

低域での響きは、魂の慟哭を表現するようで、

大変に印象的な楽章であり、ロストロポーヴィチの素晴らしい表現力だと思います!


【第3楽章:Cadenza】

冒頭、不気味に遠雷が鳴り響く中、

独奏チェロが、過去の出来事や想い出を独白する、

瞑想的で深い味わいを有する楽章であり、演奏です!

次第に感情は高揚しつつ、終楽章へ…。


【第4楽章:1Allegro con moto】

切り裂くような木管のグリッサンド、や、

次第に激昂する独創チェロによって吐露される、激しい感情…。

しかし、途中から第1楽章の動機が入り混じり、不思議な快感が湧いてくるのは、如何にもショスタコーヴィチらしい音楽!


曲の有する深みの中に、人間の持つ楽天的な側面をさらりと表現し得た、

そんな作品の魅力を存分に満喫できる、チェロ協奏曲の逸品だと思います!

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