最近聴いたCD

J.ブラームス:7つの幻想曲op/116

ヴァレリー・アフナシェフ(ピアノ)


ブラームスは、その最晩年にop.116〜119のピアノ小品集を書きましたが、

これらについてピアニストのアファナシェフは、自らのCDのライナー・ノートに、

「恥辱・苦痛・諦念・憂愁などに満たされた沈黙である」と、指摘しています。

中でも、今日エントリーするop.116「7つの幻想曲」を聴くと、

ピアノの音色そのものに感情が込められているというよりも、

まるでピアノから解き放たれた響きが、空間に漂う静寂へと溶け込み、

その余韻が大きなウェイトを占めて、聴き手のインスピレーションを喚起する、

そんな霊感に溢れた小品集のように思えるのです。>p>それは、これまで誰にも言えずに鬱々と悩み苦しんだ、ほろ苦い感情の吐露なのでしょうか…。

アファナシェヅがライナーに記したような感情が、時に張り裂けんばかりに、時にしみじみと、心に伝わって!


第1、3、7虚目の「奇想曲」では情熱的に、

第2、4、5、6曲目の「間奏曲」ではしみじみと、心情が吐露されますが…

年齢のせいでしょうか、個人的には、「間奏曲」の方に、強い魅力を感じます…。


【第2曲:Andante】

喪失感でぽっかりと穴があいた心を、

諦めることによって癒そうとするような、

如何にもブラームスらしい諦観が漂う音楽です…。


【第4曲:Adagio】

憧れることによって心を癒す孤独な心境が、

雨のそぼ降る夜に、抒情的み語られる、

ノクターン風の音楽…。


【第5曲:Andante con grazia】

気持が定まらないようなこの曲は、

若き日の心の逡巡を表現しているのでしょうか…。

これもいかにもブラームスらしい音楽です!


【第6曲:Andante teneramente】

崇高なものを拝するような穏やかな感情が、中間部では愛おしさへと変化していく、

誰もが抱いたであろう、青春の甘酸っぱい想い出が蘇るような、

切なくも美しい音楽です!

特に4曲の間奏曲での、アフナシェフの解釈の見事さが際立った、素晴らしい演奏!

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