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W.A.モーツァルト:
ピアノ協奏曲第24番 ハ短調

クララ・ハスキル(ピアノ)
イーゴリ・マルケヴィッチ  コンセール・ラムール管弦楽団


このピアノ協奏曲第24番は、

仄暗く深い情念を表現するオーケストラと、

揺れ動く心を表出するピアノの響きが大変に印象的な作品。

自らがピアノを弾く予約演奏会のために書かれたものですが、

聴衆受けを一切狙わず、妥協なしに書き上げられたとされるこの曲は、

彼の数少ない短調の作品中、さらには名作揃いの彼のピアノ協奏曲中でも、屈指の名作と言われています。


特に今日エントリーするハスキルのピアノと、マルケヴィッチ指揮するラムール管弦楽団の演奏を聴くと、

冒頭に書いたような異様な雰囲気に包みこまれ、

歌劇『ドン・ジョバンニ』の、地獄落ちの恐怖を髣髴させる、

異様な世界へと、惹き込まれていくようです…。


【第1楽章:Allegro】

オーケストラが醸す異様なパトスの世界の中を、哀愁にみちた美しいピアノが彷徨う、

大変シンフォニックな印象を受ける、深い内容を有した楽章!

マルケヴィッチが紡ぐ、清明で鋭い響きが、とりわけ劇的な雰囲気を来燃します。


【第2楽章:Larghetto】

冒頭から、淡々と夢見る孤独な心心境がピアノによって紡がれる第2楽章。

オーケストラが語りかけ、

それに応えるピアノ。

素朴なメルヘンの世界が垣間見れる、美しい楽章です。


【第3楽章:Allegretto】

終楽章は、刻々と変化していくる心の襞が、

変奏曲という形式で見事に表現された、気高さに満ちた音楽です。

全てが悲しみに蔽われているものの、

第3変奏でのピアノとオケのせめぎ合いでの力強い主張が印象的!

又、第4変奏ののどけさ、第6変奏での明るさからは、仄かな希望が垣間見えるのですが、

それ故に、劇的な緊張感をはらんだままに終わるコードの印象的なこと!

素晴らしい曲であり、演奏だと思います。

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