最近聴いたCD

J.S.バッハ:
平均律クラヴィーア曲集第2巻 第16番

アンギェラ・ヒューイット(ピアノ)


庭の白樺一本を倒し、むしむしとした暑さを置き土産に、あっという間に台風4号は通り過ぎて行きました。

夜の11:00ごろ、台風の中心が、お隣の群馬県高崎市を通過した割には、我家の被害がこの程度で済んだことは、

世界的に不穏な今のご時世ですから、厄払いになったと、楽観的に解釈しておくべきでしょうね…!


台風一過、良いお天気で、適度な吹き返しの風もあって、じめじめとし始めた愛犬たちの寝具を天日干しするには、絶好の日和です。

そこそこに爽快な気分で、ヒューイットのピアノで、平均律第2巻の13番から順に聴き始めました!


2008年に録音された彼女の2度目の平均律全曲録音に使われたピアノは、

ファツィオーリという、1981年に創業されたイタリアのメーカー製だそうですが、

楽器に由来するのか、

それともピアニストの技量に由来するのか、

或いは両者の相乗効果によるものかは判りませんが、

得も言われぬ柔らかく美しい音色が好きで、

時折このディスクを取り出しては、聴いています。

今日聴いた中で、最も心を捉えたのは、第16番でした!


第2巻の24曲中、冒頭に速度記号が表示されているのは、この16番と24番だけだとか!

以前からリヒテルの、近寄り難いほどに峻厳で敬虔な演奏を聴きながら、

一種の憧憬と、それに陶酔する悦びを覚えていた曲でしたが、

ヒューイットの演奏で聴くプレリュードは、

優しく包み込むような慈しみが感じられ、

中間部の静謐な幸福感に浸りつつ、次第に気持が高揚していく趣が…!

そして、フーガ部での特徴的に繰り返される同音連打の深々とした音色は、、

哲学上の理念的な観点から捉えられたものではなく、

易しく諭す慈母の言葉のように、心洗われる思いがします。

ヒューイットの全曲録音の中でも、際立って素晴らしい演奏の一つ!

機会があれば、是非ともお聴き頂きたいと思います。

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