その後ロンドンやペテルブルグでも成功を収めて帰国、サン・マルク寺院の学市長に就任。
生涯に100曲を超えるオペラを作曲しましたが、
チェンバロ奏者としても活躍し、85曲のチェンバロのための作品を残しています。
今日エントリーするチェンバロ・ソナタ第1番ハ長調は、
私の持っているミケランジェリのディスクには、「ソナタ第5番ハ長調」と記されており、
何故、このように異なっているのか、どちらが正しいのかは判りませんが、
とりあえず、多くのカタログに記載されている第1番でエントリーしておきます。…。
ミケランジェリのピアノで聴くこの曲は、
幼い頃に天井からつりさげられていたおもちゃのメリーゴーランドから流れてくるオルゴールの音を聴くような、どこかメカニカルな響きなのですが、
それ故に、懐かしい至福の時へと、いざなってくれるのです。
【第1楽章:Andante】
シンプルで滑らかな美しい旋律が、
研ぎ澄まされた硬質な響きで、イン・テンポで淡々と惹かれているようなのですが、
よーく聴くと絶妙のゆらぎが…!
以前に聴いたチェンバロによるテンポルバートの大きな演奏とは、印象は全く異なりますが、これがミケランジェリの特質なのでしょうね!
そんなさりげない揺らぎが、
幼い頃に幸福なまどろみに誘われた日々を懐かしむように、
何度か主題が繰り返されつつ、至福の時は過ぎていきます。
弾けるように、明るく活発な【第2楽章:Allegro】や、
転がるような活発さと、時折穏やかさが顔を覗かせる、【第3楽章:Allegro assai】は、
正直申して、第1楽章の魅力には及びません。
でも、懐かしい至福の安らぎをもたらしてくれる第1楽章だけでン¥も、是非ともご体験頂ければ、と思います。