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モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」K.458

アルバン・ベルク四重奏団員


1773年にK174の弦楽四重奏曲を作曲して以来、9年間この分野には着手しなかったモーツァルトでしたが、

ハイドンが1781年に発表した「ロシア四重奏曲」に触発され、

1782〜85年にかけて6曲の弦楽四重奏を作曲、

これらをハイドンに献呈したために「ハイドンセット」と呼ばれています。


その中で第17番は、第1楽章第1主題が、狩の角笛を思わせるところから、「狩」と呼ばれて親しまれている作品。

エントリーする演奏は、アルバン・ベルク四重奏団によるもの。

この曲の持つ明るく溌剌とした陽の部分に、ふと翳りを落とす味わいと奥深さが絶妙で、

私が聴いた範囲では比肩するものがないほどに、素晴らしい演奏だと思います!


【第1楽章:Allegro vivace assai】

前述した角笛や、鳥の囀り御思わせる伸びやかで晴朗な第1主題と、

穏やかさの中に仄暗い憂愁を感じさせる第2主題。

両者の表現が絶妙のバランス大変に魅力的な演奏です!


【第2楽章:Menuetto.Moderate 】

第1楽章の伸びやかさを受け継いだメヌエット部と、

愛らしく楽しげな舞曲を思わせるトリオ部。

「平凡な穏やかさこそが、何よりの幸福」と思える、そんな音楽です。


【第3楽章:Adagio】

第2楽章よりも一層の安らぎに包まれながら、

思い描く憧れを希求しつつ、ふと漏らす溜め息のような音楽。

なんとも贅沢な、極上の寛ぎを与えてくれる演奏です…!


【第4楽章:Allegro assai】

颯爽としていて、ハイドンの終楽章を思わせる音楽!

対位法的に処理することによって、

車のアクセルを踏む込むように、めくるめくスピード感に溢れた音楽が展開されます。

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