ハイドンが1781年に発表した「ロシア四重奏曲」に触発され、
1782〜85年にかけて6曲の弦楽四重奏を作曲、
これらをハイドンに献呈したために「ハイドンセット」と呼ばれています。
その中で第17番は、第1楽章第1主題が、狩の角笛を思わせるところから、「狩」と呼ばれて親しまれている作品。
エントリーする演奏は、アルバン・ベルク四重奏団によるもの。
この曲の持つ明るく溌剌とした陽の部分に、ふと翳りを落とす味わいと奥深さが絶妙で、
私が聴いた範囲では比肩するものがないほどに、素晴らしい演奏だと思います!
【第1楽章:Allegro vivace assai】
前述した角笛や、鳥の囀り御思わせる伸びやかで晴朗な第1主題と、
穏やかさの中に仄暗い憂愁を感じさせる第2主題。
両者の表現が絶妙のバランス大変に魅力的な演奏です!
【第2楽章:Menuetto.Moderate 】
第1楽章の伸びやかさを受け継いだメヌエット部と、
愛らしく楽しげな舞曲を思わせるトリオ部。
「平凡な穏やかさこそが、何よりの幸福」と思える、そんな音楽です。
【第3楽章:Adagio】
第2楽章よりも一層の安らぎに包まれながら、
思い描く憧れを希求しつつ、ふと漏らす溜め息のような音楽。
なんとも贅沢な、極上の寛ぎを与えてくれる演奏です…!
【第4楽章:Allegro assai】
颯爽としていて、ハイドンの終楽章を思わせる音楽!
対位法的に処理することによって、
車のアクセルを踏む込むように、めくるめくスピード感に溢れた音楽が展開されます。