1938年、彼に纏わる伝記から、チャド湖上の戦いが映画化されましたが、
音楽を担当したプロコフィエフが、その中から7曲を抜粋して、演奏会用カンタータとして再構成したものです。
今日エントリーするのは、アバド指揮するロンドン交響楽団の演奏、
新譜として発売された時のレコ藝の月評欄(?)に、
「アバドが子供のころから好きな曲で、いつかは録音したいと願っていた…」というようなことが書かれていましたが、
確かに迫力満点であると同時に、厳かさの中にメルヘン的な要素が表出された、抒情的で美しい演奏でもあります!
【第1曲:モンゴル治下のロシア】
緊張感を湛えつつも、オリエンタルなムードが漂う、素朴な美しさが感じられる佳曲です。
「第2曲:アレクサンドル・ネフスキーの歌」
敬虔さと、勇敢さが漲る音楽は、アレクサンドルの人柄を表現したものでしょうか。
【第3曲:ブスコフの十字軍】
荒涼とした死の世界(=戦場)を思わせる雰囲気の中、ブラスが悲痛な響きを奏でます。
恐怖や不安を感じさせるb、混声合唱の響きが印象的!
【第4曲:起て!ロシアの人々よ】
激しい戦いの中、鳴り響く警鐘!ロシアの労働歌のような力強さが感じられます。
【第5曲:氷上の戦い】
凍てついた湖上の荒涼とした風景と、そこで繰り広げられる凄絶な戦闘を描写した音楽。
最後にはふと安らぎが訪れるのは、アレクサンドルの勝利を表わしているのでしょうか、
【第6曲:死の原野】
レクイエムを思わせる、静謐さの中に厳かさが漂う、弦の響きの美しいこと!
オブラスツォワのメゾ独唱も、安らぎが感じられる大変に素晴らしいもの!
【第7曲:アレクサンドルのブスコフ入城】
粉雪が舞う中、聖歌を思わせる敬虔な混声合唱が響く情景は、
クリスマスの夜のように、祝福された雰囲気が横溢したもの。
印象的なフィナーレです!
描写音楽的な要素も多分に含まれており、
「プロコフィエフは、どうも苦手!」という方にも、是非ともお薦めしたい曲であり、演奏です!