最近聴いたCD

S.プロコフィエフ:
カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」

エレナ・オブラスツォワ(Ms)
クラウディオ・アバド  ロンドン交響楽団・合唱団


アレクサンドロ・ネフスキー(1220-63)とは、中世ロシアの英雄と讃えられた、実在の人物。

1938年、彼に纏わる伝記から、チャド湖上の戦いが映画化されましたが、

音楽を担当したプロコフィエフが、その中から7曲を抜粋して、演奏会用カンタータとして再構成したものです。


今日エントリーするのは、アバド指揮するロンドン交響楽団の演奏、

新譜として発売された時のレコ藝の月評欄(?)に、

「アバドが子供のころから好きな曲で、いつかは録音したいと願っていた…」というようなことが書かれていましたが、

確かに迫力満点であると同時に、厳かさの中にメルヘン的な要素が表出された、抒情的で美しい演奏でもあります!


【第1曲:モンゴル治下のロシア】

緊張感を湛えつつも、オリエンタルなムードが漂う、素朴な美しさが感じられる佳曲です。


「第2曲:アレクサンドル・ネフスキーの歌」

敬虔さと、勇敢さが漲る音楽は、アレクサンドルの人柄を表現したものでしょうか。


【第3曲:ブスコフの十字軍】

荒涼とした死の世界(=戦場)を思わせる雰囲気の中、ブラスが悲痛な響きを奏でます。

恐怖や不安を感じさせるb、混声合唱の響きが印象的!


【第4曲:起て!ロシアの人々よ】

激しい戦いの中、鳴り響く警鐘!ロシアの労働歌のような力強さが感じられます。


【第5曲:氷上の戦い】

凍てついた湖上の荒涼とした風景と、そこで繰り広げられる凄絶な戦闘を描写した音楽。

最後にはふと安らぎが訪れるのは、アレクサンドルの勝利を表わしているのでしょうか、


【第6曲:死の原野】

レクイエムを思わせる、静謐さの中に厳かさが漂う、弦の響きの美しいこと!

オブラスツォワのメゾ独唱も、安らぎが感じられる大変に素晴らしいもの!


【第7曲:アレクサンドルのブスコフ入城】

粉雪が舞う中、聖歌を思わせる敬虔な混声合唱が響く情景は、

クリスマスの夜のように、祝福された雰囲気が横溢したもの。

印象的なフィナーレです!


描写音楽的な要素も多分に含まれており、

「プロコフィエフは、どうも苦手!」という方にも、是非ともお薦めしたい曲であり、演奏です!

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