彼は優れたピアニストであると同時に、優れたヴァイオリニストでもあったと言われ、
この時期に演奏する機会が急速に増加したため、集中的に書かれたと考えられていますが、
その後なぜ作曲されなかったのかは、不明!
同時期に書かれた作品ながら、一般的にはフランス風のギャラントなスタイルが採り入れられた第2番以降、特に第3、5番が名作とされていますが、
そういった楽曲への挑戦はみられないものの、
独奏ヴァイオリンによって奏でられる清楚な旋律が、繊細・優美な表情を醸す第1番の方が、私の好みではあります。
エントリーするのは、パールマンのヴァイオリント、レヴァイン指揮するウィーン・フィルによるもの!
若き日の作品ながら、随所に安らぎを覚えるオーケストラの響きが聴き取れる、滋味深いウィーン・フィルの演奏が聴きもの!
【第1楽章:Allegro moderate】
颯爽としていながら、しっとりとした陰影を感じさせる主題が、
刻々と表情を変化させていくさまが絶妙!
ホルンの鄙びた響きが、モーツァルトらしい華やかさを彩る、
何とも滋味深さを有した、味わいを持った楽章です。
表情を抑制して、滴るような音色を奏でるソロ・ヴァイオリンの美しさが秀逸!
【第2楽章:Adagio】
簡素な主題が奏される中に、ふと忍び込むメランコリーな表情が美しいこの楽章。
しっとりとした落ち着きを醸す弦とホルンの響きの中、
ここでも滴るようなパールマンの音色が際立ちます!
【第3楽章:Allegro】
若々しく疾走するような、愉悦感に溢れた音楽です。
オーボエの鄙びた響きと、
小鳥の囀りを髣髴するようなソロ・ヴァイオリンの闊達な音色が印象的な楽章です!
個人的には、これまで聴いたこの曲の中では、頭抜けた名演だと思います!