弦楽器だけの編成ながら「鮮やかな色彩感」を併せ持った大変に魅力的なもので、
第4〜6番の交響曲、3大バレー、ピアノ協奏曲第1番やヴァイオリン協奏曲などとともに、高い人気を誇る作品!
1880年、チャイコフスキーが40歳の時に書かれたものです。
モーツァルトへの敬愛の念から生み出されたとされるこの作品は、
彼の作品中最も古典的均衡による形式美に溢れたものと評価されています、
数種類のディスクしか聴いていない曲なのですが、
今日エントリーするカラヤン/BPO盤は、
第1楽章序奏部や、
第2、3楽章の美しさが際立った演奏。
【第1楽章:Andante non troppo-Allegro moderate】
{ソナチネ形式による小品}と題されたこの楽章。
湧きいずる泉のように、募る思いが溢れだす厳かな序奏部は、
カラヤンとベルリン・フィルが到達した美しい響きだからこそ成しうる、
純化された感動を呼び覚ます世界ではないでしょうか。
【第2楽章:Moderato.Tempo deVaise】
夢の中で軽やかに虚空を漂うような儚さを湛えた、雅で美しいワルツです。
ウィンナ・ワルツでは、華麗に過ぎると思えるカラヤンの指揮ぶりですが、
ロシアンメランコリーを仄かに湛えたこの演奏は、絶品と感じます!
【第3楽章:Largetto elegiaco】
「哀歌」と題されたこの楽章は、喪失感を漂わせたホモフォニックな序奏で開始されます。
ピッチカートに乗って、淡々と歌われるメロディーは、昇華された悲しみを思わせる美しさ!
エンディングは、まるで美しい吐息のよう…!
ここでも弦の響きの美しさが、得も言われぬ情感を醸しおます!
【第4楽章:Andante-Allegro con spirito】
「ロシアの主題によるフィナーレ」と題された終楽章は、快活な舞曲のよう!
この楽章は、洗練されているがゆえに、味わいに乏しく、完結感に乏しい演奏と感じてしまうのは、まことに残念ですが…。
それでも、洗練されたチャイコフスキーの魅力が随所に聴き取れる、かけがえのない演奏