日の出とともに気温がグングン上昇して、蒸し暑く感じられる、気だるい昼下がり…。
こんな午後には、爽やかなピアノの音色が楽しめる、サン=サーンスのピアノ協奏曲第3番を!
ロP.ジェのピアノ、デュトワ指揮するロンドン・フィルの演奏で聴きました!
1868年に書かれたピアノ協奏曲第2番で大きな成功を収めたサン=サーンスは、
その勢いで、翌年に第3番を書き上げましたが、
初演で成功を得ることが出来ず、現在でもコンサートで演奏される機会の少ない作品らしいのですが…。
曲の発展性という点で面白味に欠けるきらいはあるのですが、
サン=サーンス固有の瑞々しい抒情と、牧歌的な伸びやかさが好きで、
時々取り出しては、聴いています。
【第1楽章:Moderate assai-Allegro maestoso】
ピアノが静かに瑞々しい響きを奏でる中、
オーケストラが第1主題を繰り返しながら、次第に色彩感を帯びつつ高揚していく導入部は、
原始の模糊とした中から生命の芽ぶきを感じさせつつ、そのまま主部に入っていきます…。
デュトワの演奏でこの第1楽章を聴く度に、
ボッチチェリーの名画「春」のように、爛漫とした春の息吹や滴るような抒情を…、
とりわけフルートの音色が、ギリシャ神話に登場するような、パストラールな趣を醸す、素晴らしい演奏です!
【第2楽章:Andante】
穏やかな宵闇を思わせる、間奏曲風の楽章!
夜のしじまに、独り思索に耽る趣が感じられます。
オーボエとピアノが語り合うような、抒情的な瞬間が印象的!
【第3楽章:Allegro non troppo】
休みなく突入する第3楽章は、華麗な爛漫の春への悦びに満ちた、活気に溢れるロンド風の楽章です!
劇的な効果には乏しいとは思いますが、趣深く、聴くほどに味わい深い佳作だと思うのですが…。