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カミュー・サン=サーンス:ピアノ協奏曲第3番

パスカル・ロジェ(p)
シャルル・デュトワ  ロンドン・フィルハーモニー管


昨日の日中から今朝の未明にかけては、肌寒さを感じていたのですが、

日の出とともに気温がグングン上昇して、蒸し暑く感じられる、気だるい昼下がり…。

こんな午後には、爽やかなピアノの音色が楽しめる、サン=サーンスのピアノ協奏曲第3番を!

ロP.ジェのピアノ、デュトワ指揮するロンドン・フィルの演奏で聴きました!


1868年に書かれたピアノ協奏曲第2番で大きな成功を収めたサン=サーンスは、

その勢いで、翌年に第3番を書き上げましたが、

初演で成功を得ることが出来ず、現在でもコンサートで演奏される機会の少ない作品らしいのですが…。

曲の発展性という点で面白味に欠けるきらいはあるのですが、

サン=サーンス固有の瑞々しい抒情と、牧歌的な伸びやかさが好きで、

時々取り出しては、聴いています。


【第1楽章:Moderate assai-Allegro maestoso】

ピアノが静かに瑞々しい響きを奏でる中、

オーケストラが第1主題を繰り返しながら、次第に色彩感を帯びつつ高揚していく導入部は、

原始の模糊とした中から生命の芽ぶきを感じさせつつ、そのまま主部に入っていきます…。

デュトワの演奏でこの第1楽章を聴く度に、

ボッチチェリーの名画「春」のように、爛漫とした春の息吹や滴るような抒情を…、

とりわけフルートの音色が、ギリシャ神話に登場するような、パストラールな趣を醸す、素晴らしい演奏です!


【第2楽章:Andante】

穏やかな宵闇を思わせる、間奏曲風の楽章!

夜のしじまに、独り思索に耽る趣が感じられます。

オーボエとピアノが語り合うような、抒情的な瞬間が印象的!


【第3楽章:Allegro non troppo】

休みなく突入する第3楽章は、華麗な爛漫の春への悦びに満ちた、活気に溢れるロンド風の楽章です!

劇的な効果には乏しいとは思いますが、趣深く、聴くほどに味わい深い佳作だと思うのですが…。

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