翌年にはアメリカへ亡命したラフマニノフ(1873-1943)は、
そこでヴィルトゥオーソピアニストとして、そして指揮者として演奏活動に多忙を極めたために、作曲のための時間を割くことが出来なくなりました。、
そのあめに、代表的な作品は、ロシアを離れる前までのものが大半で、
あとは、活躍の場をパリに移してから書かれた、『コレルリの主題による変奏曲』(1931)や、『交響曲第3番』(1936)、『交響的舞曲』『パガニーニの主題による変奏曲』(1940)。
今日エントリーする『コレルリの主題による変奏曲』は、彼がピアノ独奏のために書いた最後の作品となりました。
コレルリ(1653-1713)は、イタリアが生んだバロック期の大作曲家。
曲名の「主題」とは、『ヴァイオリン・ヴィオローネ・チェンバロのための12のソナタ』op.5-12「ラ・フォリア」から採られたものです。
主題と20の変奏、間奏曲によって構成されるこの作品!
雅で、無垢な透明感にあふれた主題は、地中海に拡がる蒼穹を髣髴させ、いかにもイタリア的な、晴朗な舞曲です。
しかし、第1変奏に入るや、思い入れ深く慈しみを湛えた、いかにもロシア的な音楽へと一転!
以降、イタリア的な晴朗な雰囲気は微塵も感じられないままに、ロシアン・ロマンを湛えながら変奏されていきます。
そういった理由から、変奏の意外性という点では、今一つ物足りなさを感じることも事実ですが、
煌びやかな間奏曲を挟んで変化する曲の趣き、
深い瞑想を感じさせる旋律、
多士済々なリズム、
夢見るようなロマンティシズムなど、
アシュケナージの演奏は、聴き込むほどに味わいが深まってきます!