最近聴いたCD

モーリス・ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調

マルタ・アルゲリッチ(p)
クラウディオ・アバド  ベルリン・フィルハーモニー管


1928年のアメリカへの初めての演奏旅行が大成功を収め、

これに気を良くしたラヴェルは、ヨーロッパ諸国、北・南アメリカ、アジア各国を巡る大規模な演奏旅行を計画。

その際に、自らが弾き振りすることを前提として書かれたピアノ協奏曲!

出生地パスク地方の民謡やスペイン音楽、ジャズやブルースなど、多彩な音楽が採り入れられた作品です。


今日エントリーするのは、名盤の誉れ高いアルゲリッチのピアノとアバド/BPOによる1974年に録音されたディスク!

ピアノとオケの、阿吽の呼吸による丁々発止としたスリリングさに加え、

他のどの演奏からも聴き取れない多彩な内容が表情豊かに伝わってくる、一期一会とも言える超のつく名演!


【第1楽章:Allegramente】

まるでカウボーイが自慢の腕を競うロデオ競技のように、鞭の一発を合図に華やかに開始される、第1楽章冒頭!

一息つくと、もの憂げなピアノのアルペジオに乗って、木管楽器が夜の場末の酒場を髣髴させるように、すえた雰囲気を奏でます。

ピアノとオケの阿吽の呼吸で展開される、リズミカルでユーモラスなかけ合いは、

息つく間もないほどに丁々発止とした盛り上がりを見せ、

若き日のこのコンビならではの、得難い演奏が展開されます!


【第2楽章:Adagio assai】

冒頭から2分以上に渡り、独奏ピアノによって切々と語られる抒情的な旋律は、

心情を告白するような趣を有したもの。

若き(当時33歳)アルゲリッチの瑞々しい感性が滴るような、素晴らしい演奏ですが…。

ただ、この部分に関しては、ミケランジェリやフランソワのように、

自らの人生を語るような含蓄深い名演奏もありますので、

これらも是非とも一聴されることをお薦めします!

途中、独奏イングリッシュホルンとピアノが語り合う得も言われぬ絶品の瞬間が訪れますが、

BPOの名手ローター・コッホの独奏なのでしょうか!


【第3楽章:Presto】

ドラムロールに乗って金管楽器が活躍する、華やかでラプソシックな終楽章。

第2楽章との対比に、人生の奥深さを不と感じてしまいます…。

指揮者、ピアニスト、そしてすべてのオーケストラのメンバー間で、

丁々発止と火花が飛び散るような鮮やかさ!

私が知る範囲では、これ以上にスリリングな演奏は、皆無だと思います…。

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