浅間山から吹く風が、心地良く感じられます。
この季節になると、なぜかパルムグレン(1878-1951)のピアノ曲が聴きたくなって、舘野泉さんのディスクを取り出しました。
巨匠シベリウスと同時代に生きたフィンランドの作曲家の多くが、彼の陰に隠れて報われることの少ない境遇に置かれた中で、
ピアノ音楽に秀いでた作品を書いたパルムグレンは、国際的に活躍できた数少ない作曲家の一人でした。
北欧の季節感は、「暑い寒い」ではなく、「暗い明るい」で感じられるそうですが、
微妙な光の変化を繊細に描き分けた彼の作品は、
ロマン主義的な要素に、当時の新潮流としての印象主義的な書法が加えられて、
ピアノ表現の可能性が拡大されたものと評価されています。
舘野泉さんの「初期・中期のピアノ小品集」を頭から聴き始めたのですが、
「もう1曲、もう1曲!」と思っているうちに、結局CD1枚分全てを聴き終えてしまいました。
その中からエントリーするop.54の「3つのピアノ小品」は、
どの曲もサロン風の親しみやすいものですが、
それぞれが工夫が凝らされた、爽やかな佳曲ばかりです!
【第1曲:雨だれ】
しとしとと降り続ける雨を思わせる規則的なリズムが刻まれる中、光り輝く雨粒の色彩の変化が見事に表現された、繊細で美しい音楽!
【第2曲:愛らしいワルツ】
ワルツの旋律が、愛らしく、煌びやかに、エレガントに等々…、次々と表情を変化させていく、趣向の凝らされたサロン風の音楽!
【第3曲:月の光】
フィンランドの冷涼で澄み切った大気を通して降り注ぐ月の光の繊細な変化を、ロマンチックな感傷をこめて表現した、
印象主義とロマン主義が合体したような作品です!
どの曲も、爽やかさが満喫できる、今頃の時期にピッタリの作品集だと思います。