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ルイ・シュポア:複弦楽四重奏曲第2番 変ホ長調

アカデミー室内管弦楽団員によるアンサンブル


ドイツの作曲家であり、週明なヴァイオリニストでもあったルイ・シュポア(1784-1859)は、生涯に48曲の弦楽アンサンブルのための作品を残しましたが、

複弦楽四重奏曲とは、ヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ2という楽器編成による作品としては、1823年に書かれた「複弦楽四重奏曲第1番」が、音楽誌上初めてのもの。

しかしその2年後の1825年、当時若干16歳のメンデルっスゾーンが、同じ楽器編成で、弦楽八重奏曲変ホ長調を書き上げました。

そのことを意識してか、シュポアは自作を「2組の弦楽四重奏団を協奏させる」という意図で書かれた作品と公言し、

「メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲は、8つの楽器に均等な役割を与えており、私の複弦楽四重奏曲とは、意味合いは全く異なる」と、語ったとか!

若い新進作曲家に対する、強烈なライバル意識の表れだったのでしょうか?

それはともかくとして、メンデルスゾーンの作品からは、若さがはちきれんばかりの外交的で、若々しい印象を受けるのに対し、

シュポアの作品からは、重層的な響きゆえに、一層室内楽的な渋さが印象的となり、旋律の持つ若々しい息吹に、趣深さが加わった、ロマンの香りが馥郁と感じられ曲、という印象を抱いています。


今日エントリーするのは、複弦楽四重奏曲第2番は,メンデルスゾーンの作品が発表された2年後の、1827年に書かれたもの!

特に第1楽章を聴くと、メンデルスゾーンもシュポアという先輩作曲家を、少なからず意識していたように感じるのですが…。


【第1楽章:Allegro vivace】

重層的場響きゆえに、内省的な印象を受けるのですが、

旋律は後のメンデルスゾーンの傑作群を思わせるような、若々しく瑞々しいもの。

【第2楽章:Menuetto】

誰がが声を上げれば、次々と賛同者が集まってくる、そんな趣の若々しい爽快さに溢れた、健康的なメヌエット部。

トリオ部は、しとやかで上品な愛らしさが漂います!

【第3楽章:Larghetto con molto】

密やかさと、親しみが漂う間奏曲的な楽章!

【第4楽章:Allegretto】

穏やかな親しみが込められた、ロンド風の楽章。

曲の発展性に欠ける点、若干物足りなさを感じるのですが、

このフレンドリーで寛いだひとときは、時間に追われない、古き良き時代を思わせる穏やかさが漂う、なかなかの佳曲だと思います…!

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