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S.プロコフィエフ:音楽物語『ピーターと狼』

A.プレヴィン(指揮・語り)  ロイヤル・フィルハーモニー管


1917年、ロシアでは二度に渡って革命が勃発、

嫌って、翌年にアメリカへと亡命したプロコフィエフでしたが、

3年からはパリを拠点として活躍。

音楽家たちとの親交も深まり、1932年には帰郷を果たしました。


亡命前には、アバンギャルドの旗手とされていたプロコフィエフでしたが、

帰国後には、ソヴィエト国家や大衆に受け容れられ易い作品を模索します。

そんな折、当時モスクワで設立された中央児童劇場から、動物が登場する子供のための作品を提案され、

応じて、勇敢な少年ピーターが、牧場に出没する狼を退治する顛末を描いた音楽物語『ピーターと狼』を完成(1935年)させたと言われています!

尚、物語の素材は、ロシア民話から採られたものだそうです。


ナレーションに従って進められていく、演奏時間27〜8分ほどのこの曲は、

先ず、登場者を示す楽器と主題が紹介され、

その後、これら楽器による主題を中心として、音楽による物語が展開されていきます。

エントリーする演奏は、プレヴィンの指揮とナレーション、ロイヤル・フィルの演奏によるもの!

演奏は勿論のこと、語りも軽妙・洒脱で、抜群のセンスを有したこの録音は、1985年プレヴィン56歳の頃のもの。

冒頭の弦楽合奏によるピーターの主題から、五月晴れの今日(5月5日)の天気のように爽やかな牧場の空気が、部屋いっぱいに拡がります!

フルートが奏でる小鳥たちの鳴き声も、のびのびと自由闊達で、心がうきうきするような魅力のある演奏!

アヒル表わすオーボエ、

忍び足で獲物を狙う猫を表わすクラリネット、

そして、ぶつくさと小言ばかり言っているピーターのお爺さんを表わすファゴットなど、

それぞれに個性的な魅力を湛えた木管群…。

狼がアヒルを捕まえて呑みこむ場面の緊迫感と、

その後の運命の動機の、何とも情けないパロディーからは、残虐に陥らない、ほっとするようなユーモアが滲みます…。

とにかく、活き活きとして、文句なしに愉しい演奏です!

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