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F.プーランク:
オーボエソナタ(プロコフィエフの想い出)

フランシス・ルルー(Ob)  エリック・ル・サージュ(P)


プーランク(1899-1963)の死の1年前、

友人だったロシアの作曲家プロコフィエフへのオマージュとして作曲されたもの。

友人の死を悼む、プーランクの真情が音楽化された作品と言えますが、

プーランク自身も、この作品を完成した数カ月後に死を迎えたため、

彼自身の白鳥の歌とも言える作品。

楽曲全体を通しての悲しみとともに、清らかな諦観の境地とすら感じられる、メランコリーで美しい作品です!

エントリーする演奏は、フランシス・ルルーのオーボエ、エリック・ル・サージュのピアノによるものです。


【第1楽章:Elegie】

「哀歌」と表示されたこの楽章は、いきなり、痛切な悲しみを込めたオーボエの甲高い前奏で開始されますが、

すぐに夜の静寂に包まれた田園に漂うように、物悲しく澄みきったオーボエの美しい旋律が…。

時に慟哭するように、

時に虚無感を漂わせるように、

プーランクの清明な心境が伝わってくる、素晴らしい音楽です!


【第2楽章:Scherzo】

プロコフィエフの『ロメオとジュリエット』の「街の人たちの踊り」の場面を髣髴する、情熱的なスケルツォ部!

中間部の、寂しげで愛らしい旋律は、少女ジュリエット、延いてはプロコフィエフへのオマージュなのでしょうか?


【第3楽章:Deploration】

「嘆き」と表示された終楽章は、田園の静寂に、嘆き悲しむようにオーボエの音色が響き渡る、そんな趣の音楽。

ピアノの奏でる弱々しいリズムが、孤独な寂寥感を醸しますが、

終結部では弔いの鐘のように、心の奥深くに響いてきます。

プーランクの最晩年に書かれた、名曲の名演奏!

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