最近聴いたCD

ジョルジュ・ビゼー:歌劇「カルメン」組曲(6曲)

ポール・パレー  デトロイト交響楽団


歌劇「カルメン」は、今でこそフランスオペラを代表する傑作とされていますが、

1875年の初演時には、

物語が余りに血なまぐさく、不道徳であるとの理由で、決して好評とはいえなかったばかりでなく、

そんな内容ゆえに、あわや警察沙汰にもなりかけたとか…。

それから数カ月後、不慮の死を遂げたビゼーは、生前には歌劇の成功を目にすることはできませんでした。

しかし間もなく、スペイン情緒に溢れ、劇的効果に富んだこの作品は、多くの聴衆に理解されるところとなり、

現在も高い人気を誇っているのは、ご承知の通りです。


オペラを観・聴きする機会が少ない私ですが、カルロス・クライバーの颯爽とした演奏が楽しめるDVDなど素晴らしいと思うのですが、

今日エントリーするのは、ポール・パレーの指揮する組曲版…。

『アルルの女』第1・2組曲もそうなのですが、

この人のどっしりと腰の据わった演奏は、

譬えて言えば、高排気量の大型高級車の窓を全開して、郊外の田園風景を満喫しながらドライブを楽しむような趣を有した、

素朴な味わいとともに、何ともリッチな気分に浸れる演奏なのです…。


パレーの演奏する組曲版には、

1.前奏曲、2.衛兵の交代、3.アルカラの竜騎兵、4.間奏曲、5.アルゴネーズ、6.闘牛士の行進

以上の6曲しか収録されていないのは、何とも残念なのですが、

それでも、かくしゃくとしたフランス貴族の、洗練された身だしなみを目の当たりにするような名盤!


第1曲の、陰惨な結末を予兆させる「運命の動機」とは対照的に、

任務が終わった後のお楽しみのワクワク感がコミカルに表現された、第2曲「衛兵の交代」!

ハープの分散和音に乗って奏でられるフルートの音色が美しい第4曲「間奏曲(第3幕への前奏曲)」は、

洗練されたというよりも、鄙びた素朴さが感じられる、大好きな演奏です!

力強く、濃厚なスペイン情緒を湛えながらも、素朴な木管の響きが楽しめる第5曲「アルゴネーズ(第4幕への前奏曲)」!

40年前、高校受験を控えた時期に、

音楽の先生が「ストレス発散に、超Hi-Fi録音を!」と言って、授業中や放課後に何度も聴かサて下さった「闘牛士の行進」は、まさにパレー/デトロイトの演奏!

思い入れが強いのは、そんなせいかもしれません…。

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