作曲・オケの運営・室内楽演奏等々、多忙な日々を送ることになりますが、
1790年に雇用主の公爵の死によって解雇されるまでに、
104曲ある交響曲のうちの92番までを、
83曲ある弦楽四重奏のうちの64番までを作曲し、
自らも含めた、同家お抱えの音楽家たちによって演奏されていました。
俗人の受けた印象で恐縮ですが、
四六時中顔を突き合わせていて、良く言えば気心が知れた、
悪く言えばマンネリ化に陥ったであろう仲間内で、
時にハイドンの悪戯心から書かれた作品もあるように思えるのです。
今日エントリーする第51番変ロ長調も、そんな作品の一つ?
独奏ホルンが活躍するこの曲は、
仲間内のホルン奏者に、かなりの難題を突き付けてにんまりしている、
そんなハイドンの姿が想像できるような作品と感じています。
エントリーするのは、ピノック指揮するイングリッシュ・コンサートによる、なんとも味わい深い演奏!
【第1楽章:Vivace】
疾風怒濤期のハイドンの作品らしく、弦楽器が迸るような情熱を湛えて颯爽と突っ走る中、
ホルンがなんともとぼけた味わいを醸します。
【第2楽章:Adagio】
時折深刻な表現が顔を覗かせる中、独奏ホルンが、訥々と言い訳しているような趣が感じられて…!
ハイドンのユーモアのセンスが滲みでた、ほのぼのとした楽章です!
【第3楽章:Menuetto-Trio1&2】
勇ましく、華やかなメヌエット。
第2トリオでで活躍する(大して意味もなさそうな)ホルンの技巧が、何とも微笑ましく感じられます!
【第4楽章:Allegro】
弦だけで奏される冒頭部が、ゆったりと爽やかに聴こえるのですが…。
にもかかわらず、この楽章でも、後半部はホルンが華々しく活躍します…。
ハイドンの交響曲を全曲聴く時間も根気もなくなりましたが、
ピノックによる疾風怒濤期の19曲の選集を聴く中で、この51番という作品は、格好の清涼剤の役割をはたしているような、そんな気がしました。