最近聴いたCD

レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ:
ロンドン交響曲(交響曲第2番)

サー・エイドリアン・ボールト  ロンドン・フィルハーモニー管


作曲者自身が「ロンドン交響曲」を題名とし、交響曲第2番とはナンバーリングしていないとか(三浦敦司氏)。

にもかかわらず、作曲者自身は、この曲の標題性を否定し、「ロンドンっ子による交響曲とした方が、適切かもしれない」と語ったとか。

ただ、曲を聴くと、描写的な側面も大いに含まれていることは。否定できない事実です…。


エントリーするのは、ボールト指揮するロンドン・フィルによる、名演奏の誉れ高いディスクです!

【第1楽章:Lento-Allegro risoluto】

夜明け前の暗闇を思わせるコントラバスの低音が響く中、徐々に他の弦楽器が加わり、ミュートを付けたトランペットが響くプロリーグは、

霧の都ロンドンの夜明けを思わせる趣…。

ハープが奏するビッグ・ベンの鐘の音が聞こえてくると、大都会の喧騒が始まります。

幾つかの民謡風の旋律も加わり、活気に溢れた大都会の様子描かれていきます…。

曲が鎮まり、イングリッシュホルンの奏でる民謡風の旋律や、ヴィオラとハープの美しい響きは、

都会に住む人々の故郷へのノスタルジーを感じさせるもの…。


【第2楽章:Lento】

穏やかで静謐な雰囲気を湛えたこの楽章は、

イギリスの画家ジョン・コンスタブル(1776-1837)の風景画を観るような、パストラールな雰囲気が忍び寄ります…。

ホルンの穏やかな響き…、

木管楽器の音色の印象的な美しさ…、

とりわけ中間部でイングリッシュホルンとヴィオラが奏でる中声部の蠱惑的な音色は、

この演奏の覇気日とも言える、絶品の美しさ!

イギリス音楽ならではの魅力が漂います。


【第3楽章:Scherzo(Nocturne).Allegro vivace】

疾風が吹き抜ける、場末の騒然且つ殺伐とした雰囲気が感じられるスケルツォ部。

夕闇が忍び寄り、霧に包まれながら、街は眠りへと落ちていきます…。


【第4楽章:Andante con moto-Maestoso alla marcia】

壮大な落日を思わせる冒頭部!

それに続く、引きずるような歩みは、「飢餓の行進」とか…。

20世紀初頭、世界の最強国イギリスの首都ロンドンの繁栄の裏に潜む、社会の病巣を描いたこの楽章は、

現代の日本、多くの国々にも共通した社会問題…。

行進は壮絶なクライマックスへと達すると、唐突に鎮まって…、ビッグベンの鐘の音が、印象的に響きます…。


強烈な批判や風刺とは一線を画した、

愛するイギリスのありのままの姿を見つめ、憂う作曲者の人柄が伝わるような作品であり、演奏だと思います!

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