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G.ルクー:ヴァイオリントピアノの為のソナタ

ジャン・ジャック:カントロフ(Vn)  ジャック・ルヴィエ(P)


今日エントリーするのは、夭折の天才と言われているベルギーの作曲家、ギョルム・ルクー(1870-94)の、ヴァイオリンとピアノの為のソナタ!

ヴァイオリニスト・作曲家のイザイに依頼されて1892年に作曲された彼の代表作は、

ワーグナーやベートーヴェンの影響を受けつつ、恩師セザール・フランクが用いた循環形式が採用されています。

将来を大いに嘱望されていましたが、この作品が初演されてから1年後、腸チフスに侵され、24歳の若さで世を去りました。


彼の作品は、骨身を削って、魂の全てを自分の音楽に注いでいる、

そういう旨の解説が、ライナーに書かれていましたが、

とりわけこの曲の第3楽章は、

懸命に飛び立とうとする強い意志にもかかわらず、彼自身の不幸を予感させる音楽…。

早過ぎた彼の死は、単なる偶然とは考えられないような、

そんな叶わぬ憧れのように、聴き手の心に伝わってくるのです!


【第1楽章:Tres modere】

静寂の中、朝露が滴るような繊細で透明なピアノの響く中を、ヴァイオリンが奏でる若々しく瑞々しい音楽は、

さながら果てしない大海原に拡がる、若者の壮大な夢とロマンを髣髴させる、雄大で心地良いもの!

ヴァイオリンとピアノによる二重奏ですが、

波のうねりや、颯爽さと力強さがさに満ち満ちていて、

オーケストラ曲にも匹敵するような、前途洋々たる音楽が展開されていきます!


【第2楽章:Tres lent】

物想いに耽るような、そんな趣の音楽!

どこまでも密やかな心の内には、

若者の限りなく高く深い憧憬が秘められているよう…。


【第3楽章:Tres anime】

熱い志熱に駆られるように、懸命に羽ばたこうとする情熱に覆われながらも、

儚さが漂うこの楽章…!

曲の感性から2年後には、24歳で世を去ったという事実を鑑みながら聴くせいか、

胸が締め付けられる思いがします。

途中、ゆっくりと静かに語られる部分は、まるで神に召されていく祈りのように響いてきます。


燃えるような情熱と瑞々しい感性、それに飛びぬけて繊細な心を持った天才作曲家ルクー…。

是非とも一聴されることを、お薦めします!

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