最近聴いたCD

M.ラヴェル:ヴァイオリントピアノの為のソナタ

シャンタル・ジュイエ(Vn)  パスカル・ロジェ(P)


ラヴェル(1875-1937)は、この作品を1922年に頃から書き始めましたが、

演奏時間にして僅か15分程度の作品ながら、完成までに5年を要したとか。

当時は演奏活動に追われていて、作曲活動は極度のスランプに陥っていたとも言われますが、

ラヴェル自身は「無駄な音符を削るのに、これだけの時間を要した」と言ったとか!

それぞれの楽器の個性が活かされた音色が、空間に解き放たれて、至福の時が訪れるように感じます。。


【第1楽章:Allegretto】

ヴァイオリンが官能的に、

ピアノがクリスタルのように澄み切った透明感を漂わせながら、

不思議な雰囲気で開始される第1楽章…。

ヴァイオリンとピアノが、交互にテーマを奏でながら、

時に優雅に、

時に官能的に、

時に清涼感に満たされながら等々…、

魅惑的な瞬間が、とめどなく移ろいゆく、魅力溢れる音楽です!


【第2楽章:Blues.Moderate】

表記されているように、当時パリでも流行っていたブルースのメロディが引用されているとか!

気だるく憂鬱で、妖しげな雰囲気を漂わせつつも、

決して高貴さを失わないところが、いかにもラヴェルらしいところ…。

ジャズやブルースの魅力を感じさせてくれる、法悦のひとときです!


【第3楽章:Perptuum mobile.Allegro】

汗一つ書かずに、時々アクセルを緩めながらスポーツカーで軽快に疾走するような、

聴き手にはそんな爽快感だけが感じられる音楽!

しかし、ヴァイオリニストにとっては、難曲中の難曲と言われるこの楽章!

余談ですが、

嘗てこの楽章を汗を飛ばしながら大熱演して、大きな拍手喝采を受けた若手ヴァイオリニストのコンサートで、

曲が終わった後、少し離れた席の見ず知らずの方と偶然目が会い、

阿吽の呼吸で、お互いに苦笑し合ったことを思い出します。


今日エントリーしたのは、女流ヴァイオリニストのシャンタル・ジュイエと、パスカル・ロジェのCDは、

私が聴いた中では、上述したような作品の魅力を最も感じた演奏でした!、

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