最近聴いたCD

F.J.ハイドン:弦楽四重奏曲第78番 op.76-4 

タカーチ四重奏団


ハイドンは、弦楽四重奏曲は80曲以上書いているそうですが、

その中で知っている曲と言えば、中学生時代に音楽の授業で習った第77番「皇帝」の第2楽章、

ドイツ国歌となっている例の旋律くらいのものでした。

ところがこの年齢になって、突然に「シンプルでストレス・フリーな弦楽四重奏曲を!」と思い立ち、

タカーチ四重奏団によるop.76の6曲を買いました。


1797年、エルデーディ伯爵の依頼によって書かれたこの作品。

作曲当時64歳だったハイドンですが、

直前に書かれたop.71、74の各3曲以上に、旺盛な創作意欲の高まりを証明する、意欲的な作品と評価されているようです。

偶然ですが、私も4月中には64歳になります…。

ハイドン先生を見習って、せめて心身の活性化を図るために、もう一つくらい新たなことを始めなければ!


【第1楽章:Allegro con spirito】

「日の出」という副題の由来となった冒頭部は、

言われてみれば、朝靄に包まれた静寂の中から、太陽が昇ってくるような…。

そんなことを考えながら聴くのも愉しいのですが、

それ以上に惹かれたのは、

元気がよくって、時に翳りをみせながらも、淀みなく朗々と流れるチェロの旋律!

こんなに恰幅が良くって愉しげで、しかも格調の高い弦楽四重奏曲、ちょっと思い当たりません…。


【第2楽章:Adagio】

穏やかなグラデーションを描くような、ヴィオラの奏でる中声部の得も言われぬ響きは、

迫りくる黄昏時を髣髴させ、

周囲の風景が、徐々にモノクロームの世界に移っていく、

そんな光の変化が織り成す夕べの情景の、繊細で格調の高いこと!

ヴィオラという楽器の魅力が、満喫できる、素晴らしい音楽です!


【第3楽章:Menuetto-Allegro】

くるくると回りながら踊るような、愉しげなメヌエット!

中間部の尊大で無骨な音楽は、ハイドンらしいユーモアが感じられます。


【第4楽章:Allegro ma non troppo】

勿体ぶって気どった中にも、どこかユーモアが感じられる第1主題。

第2主題は、郷愁が迸り、次第に情熱が高まっていくよう…。

コーダでは一層速度を速めて、めくるめく心地が…。


ハイドンの弦楽四重奏曲の全てを踏破しようとまでは思いませんが、

こんな素晴らしい作品群を知り得て、ほんと良かったと思います!

ホームページへ