最近聴いたCD

D.ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第6番

ボロディン弦楽四重奏団


1956年、スターリンの死後に、初めて書かれた弦楽四重奏曲。

そのためか、第5番と比較すると、全曲を通して曲想は明るいのですが、

それ以前にジダーノフ批判によって、作曲の筆を折られたこともあってか、

それぞれの楽章には、そのために無為に費やされた日々に対する、痛烈な皮肉が込められた作品のように感じられるのです。


【第1楽章:Allegretto】

扉をノックするように、愉しげに開始される冒頭部。

明るくって耳触りは良さは、やがて狂気の沙汰へと高揚していきます…。

どこか甘言を弄されているようで、今一つ信用できない…、

そんな皮肉っぽい諧謔味を感じさせる音楽です。


【第2楽章:Allegro con moto】

華やかですが、ミステリアスでもあり、猜疑心が見え隠れするこの楽章。

感情を伴わずに機械的に御刻まれる3拍子のリズムは、

見せかけのきらびやかさを揶揄するような、皮肉っぽさが感じられる舞曲です。


【第3楽章:Lento】

チェロの奏でる、寂寥感に満ちた哀れでもの悲しい旋律は、費

消された日々を思い浮かべる、哀悼の歌でもあるのでしょうか。

この天国的に美しい楽章には、

亡きスターリン(体制)に対する、痛烈な批判が込められてりるように感じるのですが…。


【第4楽章:Lento-Allegretto】

第3楽章の余韻を漂わせつつ開始される、愉しげで艶やかな気の聴いた音楽。

ピチカートにのって諧謔味を感じさせる音楽が展開されますが、

やがて穏やかに、しかしどこか虚しさが訪れて…。


ショスタコーヴィチの弦楽四重奏の中では、それほど注目される作品ではないようですが、

ボロディン四重奏団の演奏によって、この曲に内包されたメッセージを聴き取ることができたように感じます!

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