ユトランド半島と、周辺の多くの島々からなるという地理的な位置に加え、
ヴァイキングの国というイメージから、海洋国家を思い浮かべるのですが、
瑞々しい感性と勇壮なロマンに溢れたこの作品には、
自国の自然や歴史に強い誇りを抱く若者が描いた、愛国心に溢れる作品と感じられるのです。
日本では、いつの頃からか愛国心=右翼思想と、あたかも同義語のように扱われる傾向が強いようですが…。
演奏は、スェーデン人指揮者ブロムシュテット率いるサンフランシスコ交響楽団。
ニールセンの交響曲全集の定番とされているディスクです。
【第1楽章:Allegro orgoglioso】
力づよく開始される第1楽章は、木管が奏でる海への郷愁を感じさせる爽やかな歌に彩られて、雄渾さを増していきます。
カノン風に勇壮に締めくくられるコーダ部は、自国への強い誇りが感じられる音楽!
【第2楽章:Andante】
北国の夜の海辺に佇むような、ロマン的な詩情に溢れた音楽。
潮が満ちてくるように感動が高まってくる、そんな趣が感じられます。
【第3楽章:Allegro concodo】
爽やかに澄みきった快晴の下、前途洋々たる船出を思わせるスケルツォ風の主部と、
対照的に凪いだ夜の海のように穏やかなホルンの響きが印象的な中間部…。
【第4楽章:Finale】
波を蹴立てて進んでいくような、冒険的な曲想で開始される終楽章。
木管が奏する爽やかなロマン的情緒が絡んで展開していく、勇壮な曲想!輝かしく誇り高く締めくくられるコーダ!
「愛国心」という言葉を使うことに憚りを感じる団塊世代の私ですが、
「清々しい誇り」と言えば、抵抗なく使えそう!
若きニールセンの、清々しく感動的な音楽です。