フランスの文芸評論家・小説家・詩人でもあるサント=ブーヴの詩集「Les Consolations 」から採られたと言われており、
原題は「慰め、6つの詩的思考」…。
当時のリストは、演奏旅行中のロシアで知り合った某侯爵夫人カロリーネと、許されざる恋に陥っていたとか…。
彼女は、大変に教養の高い人物だったようで、
リストの主要作品の多くは、彼女と交際していた12年間に、インスパイアを受けて書かれたものと言われています。
高貴な情感が漂うこの作品は、そんなカロリーネを念頭に置いて書かれたのでしょうか。
作品は、二人の恋に理解を示したロシア皇帝の妹、ワイマール大公妃マリアに、感謝の意を込めて献呈されました。
エントリーする演奏は、ヴィルトゥオーソピアニストと評されるボレットによるもの。
しかしながらこの小品集は、
超絶技巧を誇示する作品とは一線を画した、
平易ながら高い演奏効果を有する作品と言われています。
ボレットの演奏は、
タイトルのごとく、淡々とした表情の中にも万感の思いが込められた、実に味わい深いもの!
【第1曲:Andante con moto】
物静かな祈りと、美への賛美を思わせるような、穏やかな曲。
【第2曲:Un poco piu mosso】
愛おしさがこみあげてくるような、大変に美しい曲!
【第3曲:Lento placido】
左手のアルペジョにのって、空間に漂うため息のような美しく儚い、ノクターン風の旋律…
【第4曲:Qasi adagio】
曲を献呈したワイマール大公妃マリアの書いた旋律を基にしているとか…。諦めを感じさせる音楽…。
【第5曲:Andantino】
流れるような伴奏に乗って、遠くを見るような穏やかな旋律がさ…。諦観の境地でしょうか!
【第6曲:Allegretto sempre cantabile】
鐘の音が近づくにつれ、心がざわめき、やがて穏やかに……。そんな象徴的な音楽と感じます…。
実演も含めて、若手ピアニストの演奏を幾つか聴いてきましたが、
恣意的な感情移入はタブーと感じられる作品。
その点で、ボレットの演奏の味わい深さは、群を抜いて素晴らしいと感じています!