最近聴いたCD

C.サン=サーンス:ピアノ協奏曲第1番

ガブリエル・タッキーノ(ピアノ)
ルイ・ド・フロマン  ルクセンブルぐ放送管弦楽団


1858年、サン=サーンス(1836-1921)23歳の時に完成された作品。

フランス人が作曲した最初のピアノ協奏曲でもあり、習作的な性格が強いとされていますが、

若き作曲家の伸びやかで瑞々しい感性に溢れたこの作品は、

ストレスフリーに屈託無く聴くことができる、私の愛聴曲の一つです。


演奏は、ルイ・ド・フロマン指揮するルクセンブルグ管、ピアノがガブリエル・タッキーノによる演奏です。

この人の弾くサンサーンスのピアノ協奏曲は、

けれん味のない演奏で、耳触りが心地良く、

それでいてしっかりと心に残る印象的な演奏だと、感じています。


【第1楽章:Andante-Allegro assai】

山々にこだまする、のどかなホルンの響き!ピアノのアルペッジョが、

空間に漂う大気の清涼感を醸すようで、大変に印象的な序奏部です。

主部は若々しいエネルギー感に溢れたものですが、

ピアノのアルペッジョが、楽章全体を支配するかのように、爽快さと瑞々しさを与えていきます。


【第2楽章:Andante sostenuto quasi Adagio】

足枷を引き摺りながら、闇の中を進むような音楽なのですが、

どうにも逃れられられない、運命に呪縛された苦役ではなく、

甘い幻想が仄かに感じられるこの曲は、

若き日に誰もが遭遇する、一過性の修練のような趣きのもの…。

悲しみをさめざめと独白するようなピアノのカデンツォが、印象的!


【第3楽章:Allegro con fuoco】

気分は一転して、主題がピアノからオーケストラ絵と受け継がれる、活発で陽気な終楽章。

楽しく、気の利いたお喋りが展開していきます。

いかにもサン=サーンスらしい、明るく快活な雰囲気を有する音楽!

最近時々取り出して聴くようになりましたが、

聴き終えると、いつも気持がすっきりとするのです。

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