フランス人が作曲した最初のピアノ協奏曲でもあり、習作的な性格が強いとされていますが、
若き作曲家の伸びやかで瑞々しい感性に溢れたこの作品は、
ストレスフリーに屈託無く聴くことができる、私の愛聴曲の一つです。
演奏は、ルイ・ド・フロマン指揮するルクセンブルグ管、ピアノがガブリエル・タッキーノによる演奏です。
この人の弾くサンサーンスのピアノ協奏曲は、
けれん味のない演奏で、耳触りが心地良く、
それでいてしっかりと心に残る印象的な演奏だと、感じています。
【第1楽章:Andante-Allegro assai】
山々にこだまする、のどかなホルンの響き!ピアノのアルペッジョが、
空間に漂う大気の清涼感を醸すようで、大変に印象的な序奏部です。
主部は若々しいエネルギー感に溢れたものですが、
ピアノのアルペッジョが、楽章全体を支配するかのように、爽快さと瑞々しさを与えていきます。
【第2楽章:Andante sostenuto quasi Adagio】
足枷を引き摺りながら、闇の中を進むような音楽なのですが、
どうにも逃れられられない、運命に呪縛された苦役ではなく、
甘い幻想が仄かに感じられるこの曲は、
若き日に誰もが遭遇する、一過性の修練のような趣きのもの…。
悲しみをさめざめと独白するようなピアノのカデンツォが、印象的!
【第3楽章:Allegro con fuoco】
気分は一転して、主題がピアノからオーケストラ絵と受け継がれる、活発で陽気な終楽章。
楽しく、気の利いたお喋りが展開していきます。
いかにもサン=サーンスらしい、明るく快活な雰囲気を有する音楽!
最近時々取り出して聴くようになりましたが、
聴き終えると、いつも気持がすっきりとするのです。