最近聴いたCD

J.シベリウス:交響詩「フィンランディア」

N.ヤルヴィ  イェーテボリ交響楽団


申すまでもなく、シベリウスの作品中で最も知られた曲。

帝政ロシアの弾圧が強まる1899年、

フィンランド国民の独立機運を高めるべく、新聞社の主催による催しが開かれ、

その一環として上演された愛国記念劇に付けられた曲の、最後を飾るものでした。

中でも、後に「フィンランド讃歌」と名付けられた旋律は、

今もフィンランドの第2の国歌として、親しまれているもの。

フィンランド国民の愛国心を高め、独立運動に発展することを恐れた当時の帝政ロシア政府は、

この曲の演奏を禁止したと言われています。


味わい深さという点では、

抑圧されたフィンランドの歴史を、

吟遊詩人が物語るかのような趣を有した、C.ディヴィス/ロンドン響の演奏がありますが…。

今日エントリーするのは、

鬱積された憤りが、やがて大地を揺るがす歓喜へと高揚していく、

N.ヤルヴィ指揮するイェーテボリ交響楽団の演奏。


2つの序奏部を有した、三部形式で構成されるこの曲。

地鳴りを思わせるようなチューバの重苦しい響きが、抑圧されたフィンランドの人々の鬱積した心を表わすような第1序奏部!

テンポが速まり、強風に舞い上がる地吹雪のように、激しい怒りが一気に爆発する第2の序奏部!

戦が開始されるように、ティンパニのトレモロに乗って怒涛の如くに進撃する主部は、緊迫感が最高潮に達していきます。

ここでの金管の咆哮は、あたかも味方の戦意を鼓舞するような演奏!

ヤルヴィの棒さばきの鮮やかさは、秀逸です!


しみじみとした情感を湛えて奏されたフィンランド讃歌が、

一気に感極まるまでに高揚して、、深々と繰り返される中間部の表現には、

思わず目頭が熱くなりました…。

そして、鳥肌が絶つほどに感動的な、コーダ部の盛り上がり!

1992年に収録された、父ヤルヴィ二度目の演奏は、この曲を代表する感動的なものだと思います。

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