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F.ショパン:4つのマズルカ op.6  

A.ルービンシュタイン(ピアノ)


ポーランドの民族舞曲ポロネーズが貴族階級で広まったのに対し、

マズルカは農民達の間で親しまれたと言われています。

作品番号の付けられたop.6からop.68までの49曲のマズルカは、

ショパン19歳の1829年から、死の年の1849年に至るまで、生涯に渡って作曲されており、

その時々の様々な思いを、母国の民族舞曲のリズムに託して五線譜に書き記した、随想録のような作品集と考えても、まんざら的外れでもないと思います。

しかし、その底辺には祖国ポーランドへの深い愛着が脈々と流れる、極めて高い芸術性を有したもの!


今日エントリーするop.6の4曲は、1830年秋にワルシャワを離れる前に作曲されたとも言われていますが

(その直後にポーランド国内で動乱が勃発し、生涯母国に戻ることができませんでした)、

1832年、パリで出版されました。

初期のマズルカには、ポーランドの土俗的な香りが染みついていると言われますが、

特に最初のこの曲集は、そのすぐ後に書かれたop.7と比べても、一層その傾向が強く感じられます。

その点で、A.ルービンシュタインの弾くop.6は、

粗野で力強いマズルカのリズムに裏打ちされることによって、

ショパンが曲に込めた燃えたぎるようなロマンや情熱が、他のどの演奏よりも熱く迸るのですが、

それでいて決して格調を損なわれることがありません!

そして作曲された時期云々はさて置いて、

戦禍に巻き込まれた祖国への不安や、熱い望郷の念が込められた演奏とも感じ取れるのです。


【op.6-1】

毅然と刻まれるマズルカのリズムの上を、

独特のテンポルバートによる憂いを含んだ甘美なメロディーが、熱い郷愁を掻き立てます。

ルービンシュタインならではの名演!


【op.6-2】

冒頭の行き場のない模索の中から、浮遊するように湧き上がるエキゾティックなメロディには、

強い望郷の念が込められた、そんな演奏と感じます。


【op.6-3】

夕べの鐘の音に呼応するかのように、熱い心情が吐露されるこの曲。

ショパンの幼き日の心象風景なのでしょうか?

マズルカのリズムに乗せて高まる感情!


【op.0-4】

焦燥感を覚えるようなこの曲は、

悲しみ・望郷・不安などの複雑な感情が込められているよう…。


知と情が絶妙のバランスを保った、素晴らしい演奏だと思います!

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