妻ジョルジュ・サンドは彼女の大ファンで、しばしば自宅に招いて親交を温めており、
ポーリーヌも、出産後演奏旅行に出かける際には、ショパン夫妻に子供を預けることもあったとか…。
ショパンはこの子を大変に可愛がっていたそうで、彼女もショパンにはよくなついていたそうです。
演奏時間5分弱のこの曲は、主題と14の変奏から構成されていますが、
フレーズは終止することなく、次から次へと変化していくという、珍しい作品。
左手の和声を刻むリズムが一定しており、右手の奏でる旋律も親しみ易いものであるために、一聴するとシンプルに感じられますが、
しかし傾聴するほどに、奥深い味わいがこみあげてくる、素晴らしい曲だと思います。
実はこの曲、次から次へと即興的に美しいインスピレーションが湧き上がる、ポリーニ盤が最も気に入っており、これをエントリーするつもりでいたのですが…。
今日エントリーするのは、イギリス生まれのピアニスト、ソロモン(1902-1988)によって、1952年に演奏されたスタジオ録音。
慈愛に包まれた穏やかさに支配されつつ、
各変奏の微妙な変化が、鮮やかに描き分けられており、
聴き手にとっては、一つ一つが表情の異なった愛らしい仕草の様に感じられて、
ショパンが幼児と一緒に居ることで得られた、喜びや幸福感がそのまま伝わってくるような、そんな演奏と感じられるのです!
演奏を聴いて、穏やかで潔癖な人柄を髣髴してしまう、そんな温かい演奏!
彼が残したショパンの演奏だけでも、是非とも聴きたくなりました。