「演奏中に居眠りしている聴衆の目を覚ますために、突然ビックリするような大きな音を出させた…」
そんなエピソードを聞かされてから50年が経った今も、
「どのくらい驚かせてくれるかな…」と、ワクワクしながらその瞬間を待ち構えている、単純な私…。
ハイドンの全交響曲の中でも、振り子時計の時を刻む音を真似たという、第101番「時計」と並んでよく知られた作品です。
今日エントリーするのは、C.デーヴィス指揮する、ロイヤル・コンセルトヘボウの演奏。
私の持っている数枚のCDの中では、その前のピアニシモを、思わず息を呑むほどに音量を抑え、
乾坤一擲、フォルテシモで叩きつけるという、期待に違わぬ演奏!
勿論、それだけじゃないのですが…。
【第1楽章:Adagio cantabile-Vivace assai】
ものやわらかく、穏やかで、言いしれぬ幸福感に包まれた序奏部は、コンセルトヘボウならではのもの!
活気に溢れて晴れやかな主部への導入として、特上の演奏ではないでしょうか!
【第2楽章:Andante】
件の部分は、前述した通り!
変奏主題は、ドイツのズデーデン地方、或いはモラヴィア地方の民謡と言われていますが、これが変奏していくさまは、
時におどけたようなお茶目ぶりを、
時に気どってみたり、
時に怒ったような仕草を…
しなを作って、男性の気を惹こうとする気どった女性を見ているような、そんな愉悦感に溢れています!
【第3楽章:Menuet】
この楽章でのデーヴィスの演奏は、訛り言葉を思わせる独特のアクセントを感じさせますが、それ故に実に楽しいメヌエットに仕上がっています。
【第4楽章:Allegro di molto】
どこまでも軽快なロンド風の楽章…。熱気と躍動感が漲った、愉悦感溢れる素晴らしい楽章です。
上品さの中にユーモアが感じられる、デーヴィスの真摯な指揮ぶりと、
コンセルトヘボウの弦や木管の柔らかな響きが堪能できる、名演奏だと思います。