最近聴いたCD

S.ラフマニノフ:ピアノソナタ第2番 op.36  

ウラジーミル・アシュケナージ(ピアノ)


ラフマニノフ(1873-1943)のピアノ作品と言えば、

「協奏曲第2、3番」や「パガニーニの主題による狂詩曲…」、それに「前奏曲集」あたりは直ぐに思いつくのですが…。

影の薄い存在ながら、ピアノソナタも2曲書いていたのですね。

今日聴いた、アシュケナージのピアノによるソナタ第2番は、

お目当ての前奏曲op.23とop.32にカップリングされていたものですが、

これがなかなかの逸品!


初演以降の評価はいま一つで、その後作曲者自身が大幅に改訂したそうですが、

ラフマニノフの生誕100周年のメモリアル・イヤーを境にして、評価は一変。

こんにちでは、度々コンサ―トで採り上げられるとか…。

このアシュケナージ盤は、初版に基づいて演奏されているようですが、<

この演奏を聴いて、別な版や演奏も聴いてみたいと思うようになりました。


【第1楽章:Allegro agitato】

ラフマニノフ特有の華やかさの中にメランコリーが感じられる、美しくも情熱的な楽章。

眩いばかりにネオン輝く都会(この曲が書かれた1913年当時に、そんな光景が存在したかどうかは知りませんが)のきらびやかさの、

その裏に潜む虚栄の世界を思い浮かべ、

それが、一応は都会の生活に慣れたわたしには、懐かしくも感じるられるのです…。

静寂闇へと、吸い込まれるように消えていくこの楽章は、まことに印象的!


【第2楽章:Non allegro】

一転して、星降る夜の静寂を思い浮かべるような、

幻想的でメランコリーな旋律が心に沁み入る、大変に美しい楽章!

この静謐さ!

こだわるようですが、やはり都会的なメランコリーに似合ったものだと思うのです…。


【第3楽章:Allegro molto】

きらびやかで斬新さが感じられる、サロン舞曲風のリズムが印象的な第1主題、

鐘の音を模した雅な響きが抒情性を高める第2主題。

コーダは、ラフマニノフらしい超絶技巧を駆使して、華やかに締めくくられます。


アシュケナージの演奏を聴いて、初めてこの曲に感銘を受けつつも、

異なった解釈の可能性も示唆してくれるような、そんな含蓄深さを感じました。

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