「協奏曲第2、3番」や「パガニーニの主題による狂詩曲…」、それに「前奏曲集」あたりは直ぐに思いつくのですが…。
影の薄い存在ながら、ピアノソナタも2曲書いていたのですね。
今日聴いた、アシュケナージのピアノによるソナタ第2番は、
お目当ての前奏曲op.23とop.32にカップリングされていたものですが、
これがなかなかの逸品!
初演以降の評価はいま一つで、その後作曲者自身が大幅に改訂したそうですが、
ラフマニノフの生誕100周年のメモリアル・イヤーを境にして、評価は一変。
こんにちでは、度々コンサ―トで採り上げられるとか…。
このアシュケナージ盤は、初版に基づいて演奏されているようですが、<
この演奏を聴いて、別な版や演奏も聴いてみたいと思うようになりました。
【第1楽章:Allegro agitato】
ラフマニノフ特有の華やかさの中にメランコリーが感じられる、美しくも情熱的な楽章。
眩いばかりにネオン輝く都会(この曲が書かれた1913年当時に、そんな光景が存在したかどうかは知りませんが)のきらびやかさの、
その裏に潜む虚栄の世界を思い浮かべ、
それが、一応は都会の生活に慣れたわたしには、懐かしくも感じるられるのです…。
静寂闇へと、吸い込まれるように消えていくこの楽章は、まことに印象的!
【第2楽章:Non allegro】
一転して、星降る夜の静寂を思い浮かべるような、
幻想的でメランコリーな旋律が心に沁み入る、大変に美しい楽章!
この静謐さ!
こだわるようですが、やはり都会的なメランコリーに似合ったものだと思うのです…。
【第3楽章:Allegro molto】
きらびやかで斬新さが感じられる、サロン舞曲風のリズムが印象的な第1主題、
鐘の音を模した雅な響きが抒情性を高める第2主題。
コーダは、ラフマニノフらしい超絶技巧を駆使して、華やかに締めくくられます。
アシュケナージの演奏を聴いて、初めてこの曲に感銘を受けつつも、
異なった解釈の可能性も示唆してくれるような、そんな含蓄深さを感じました。