最近聴いたCD

S.バーバー:弦楽のためのアダージョ  

L.バーンスタイン指揮  ロスアンジェルス・フィル


1936年に作曲された弦楽四重奏曲第1番の第2楽章は、指揮者トスカニーニの強い勧めにより、翌年弦楽合奏のための作品に編曲されました。

高貴な美しさを湛えた、すすり泣くような主題が、

転調を繰り返しながら微妙に変化しつつ、何度も繰り返されていくシンプルな構成のこの曲は、

死者の高潔な人徳を讃えるレクイエムと聴き取れるためでしょうか。

ダラスで凶弾に倒れ、惜しまれつつ世を去った若きアメリカ大統領J.F.ケメディの葬儀をはじめとして、多くの著名人の葬儀でも演奏されているようです。

一度聴いたら強く印象に残るこの曲は、

映画、TVドラマ、CMをはじめ、最近ではコンピューターゲームにまで使用されているそうで、すっかりお馴染みになりました。


今日エントリーするバーンスタイン盤は、

聴く前には、クライマックスに至って慟哭するような演奏だろうと予測していたのですが、

見事に裏切られて、昇華された悲しみというか、

全曲に渡って諦観を極めたような解釈が…!

静謐さに覆われたこの演奏は、素晴らしいと思いました。


録音は古いのですが、この弦楽合奏版を初演したトスカニーニ盤の、清冽な湧水を思わせるような、神々しさに満ちた演奏も一聴もの!

演奏時間9〜10分程度の旧奥ですから、色んな解釈を聴き比べられるのも、一興かと思います。

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