彼の代表作に聴き取れる、モラヴィアの民族色が強く表出された個性の強さは未だ見られず、
同郷のスメタナやドヴォルザークの作品のような、後期ロマン派的な美しさに溢れた作品に仕上がっています。
エントリーする演奏は、ヤナーチェクの故郷でもあるブルノ国立フィルの演奏で、指揮はフランティシェク・イーレク。
ご当地ものだから良し!とは必ずしも思いませんが、
この演奏は、えも言われぬ趣を有する弦の独得の音色が深く郷愁を誘う、大変に素晴らしいものだと思います!
【第1楽章:Moderate】
冒頭部の劇的な感情の高揚は、故郷に戻った悦びを表わすのでしょうか。一息つくと、しみじみとした叙情が溢れるような音楽が…。
【第2楽章:Adagio】
初冬の凛とした澄みきった大気の中、一片の枯れ葉が風に舞う風情を思わせる、大変に美しい音楽です。
【第3楽章:Andante con moto】
優雅で美しいサラバンド風の舞曲。楽しい寛ぎを感じさせます!
【第4楽章:Presto】
郷愁を誘う情熱的な舞曲風の主部と、抒情的な中間部の対比が印象的。
【第5楽章:Adagio】
忍び寄る宵闇を思わせるコントラバスに、独奏のヴァイオリンとヴィオラが歌い交わすさまや、独奏チェロの美しい歌は、穏やかな一日が終わりを思わせる寛ぎのひとときが…。しみじみとした、味わい深い作品です。
【第6楽章:Andante】
ボヘミアの広大な草原にたなびくように流れる、哀愁を帯びた美しい旋律!
舞曲風に揺れるテンポは、心のときめきと不安が交錯する、不安定な感情の表出でしょうが、その絶妙の美しさ!
ロマン派音楽の好きな方には、たまらない逸品!
未聴の方には、是非お薦めしたい曲であり、演奏です。