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レオシュ・ヤナーチェク:弦楽のための組曲  

フランティシェク・イーレク指揮  ブルノ国立フィル


ヤナーチェク(チェコ1854-1928)が23歳の時に作曲した、最初の器楽作品。

彼の代表作に聴き取れる、モラヴィアの民族色が強く表出された個性の強さは未だ見られず、

同郷のスメタナやドヴォルザークの作品のような、後期ロマン派的な美しさに溢れた作品に仕上がっています。


エントリーする演奏は、ヤナーチェクの故郷でもあるブルノ国立フィルの演奏で、指揮はフランティシェク・イーレク。

ご当地ものだから良し!とは必ずしも思いませんが、

この演奏は、えも言われぬ趣を有する弦の独得の音色が深く郷愁を誘う、大変に素晴らしいものだと思います!


【第1楽章:Moderate】

冒頭部の劇的な感情の高揚は、故郷に戻った悦びを表わすのでしょうか。一息つくと、しみじみとした叙情が溢れるような音楽が…。

【第2楽章:Adagio】

初冬の凛とした澄みきった大気の中、一片の枯れ葉が風に舞う風情を思わせる、大変に美しい音楽です。

【第3楽章:Andante con moto】

優雅で美しいサラバンド風の舞曲。楽しい寛ぎを感じさせます!

【第4楽章:Presto】

郷愁を誘う情熱的な舞曲風の主部と、抒情的な中間部の対比が印象的。

【第5楽章:Adagio】

忍び寄る宵闇を思わせるコントラバスに、独奏のヴァイオリンとヴィオラが歌い交わすさまや、独奏チェロの美しい歌は、穏やかな一日が終わりを思わせる寛ぎのひとときが…。しみじみとした、味わい深い作品です。

【第6楽章:Andante】

ボヘミアの広大な草原にたなびくように流れる、哀愁を帯びた美しい旋律!

舞曲風に揺れるテンポは、心のときめきと不安が交錯する、不安定な感情の表出でしょうが、その絶妙の美しさ!


ロマン派音楽の好きな方には、たまらない逸品!

未聴の方には、是非お薦めしたい曲であり、演奏です。

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