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I.ストラヴィンスキー:幻想的スケルツォ 

P.ブーレーズ指揮  クリーブランド管弦楽団


1906年に従妹と結婚し、息子を授かったばかりのストラヴィンスキー(1882-1971)が、新妻と読んだメーテルランク『ミツバチの生活』から霊感を得て、作曲されたとか。

物語の内容は知りませんが、

恩師リムスキー=コルサコフ譲りの色彩感に富んだ作品で、その音色は、聴き手の五感を心地よく刺激する瑞々しさに溢れたもの。

ロマン派の残り香を漂わせつつ、印象主義的な筆致も感じられる、耳に馴染み易い作品と感じています。


エントリーするブーレーズ/クリーブランド管の演奏は、

それぞれの楽器の音色が明晰な表現を示しながら、且つバラバラに聴こえない、

言い換えれば、高度に有機的な関連性を持った、精緻で明晰な演奏と言えるのかもしれませんが、

その結果として、各フレーズから、様々な情景が浮かび上がってくる、そんな音楽に聞こえるのです。


演奏時間15分程で、A―B―Aの3部形式で構成されるこの作品は、

A部では、弦・木管・金管に加えて、ハープやチェレスタの音色が加わることによって、

野を吹き抜ける爽やかな風、梢の合間から射しこむ陽の光等々、

印象派音楽を思わせるような、五感に心地良い音楽が展開されます。

中間部(B)は、抒情性豊かなパストラール風の音楽!

公私ともに順風満帆な、幸福な生活を思い浮かべるような、穏やかな作品。

三大バレー音楽(火の鳥・ペトルーシュカ・春の祭典)の余白に、この曲が入っているCDも結構ありますので、未聴の方は是非お聴きになってみてください。

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